ステファニー・ランド著作のページ


Stephanie Land  28歳でシングルマザーになり、誰の援助も受けられなかったために子供を産んで早々ホームレスとなったのち、メイド(家庭内清掃員)として働く。その経験をもとに書いた「MAID」が全米で話題となり、バラク・オバマ前大統領が毎年発表する2019年の推薦図書リストにも選出された。現在も引き続き、女性の貧困問題や不十分な社会保障等に対して声を上げる文筆家として活動中。

 


 

「メイドの手帖 ★☆    訳:村井理子
 
原題:"MAID Hard Work,Low Pay and a Mother's Will to survive" 
  
−最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語−




2019年発表

2020年07月
双葉社
(1800円+税)



2020/11/29



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28歳でシングルマザー、離婚している両親からの手助けも金銭的支援も受けられず、可能な限りの公的支援プログラムを利用しながら、派遣清掃員と働き子育てに奮闘してきた筆者の体験を記したノンフィクション。

時に崩れ落ちそうになりながらも、懸命に自分と娘
ミアの生活を維持するために奮闘してきた姿には、確かに胸打たれるものがあります。
一方で日米社会の差もいろいろと感じさせられます。
自分にそうした経験がないだけに、適切に比較することはできようもありませんが、米国にはいろいろな支援制度がありながらも結構複雑、同時に条件を少しでも外れた時の厳しさも感じます。

同時にまた、社会の底辺と言うべきメイド(家庭内清掃員)という仕事の悲哀さも、思う存分実例を挙げながら語られます。

暴力傾向があって別れたミアの実父である
ジェイミーに、時々ミアを預けて世話を託している、という部分にはそれしか選択肢がなかったということなのかもしれませんが、正直に言って何故?と感じるところがあります。
悲惨と感じざるをえなかったのは、古くてカビが絶えずはびこるアパートに住み続けた結果として、ミアも筆者も体調不良に苦しんだという辺り。

ノンフィクションですから、読んだままであり、それ以上でもそれ以下でもない、というのが感想。
なお、当事者のもう一人であり、ろくに玩具も与えられず遊びにも滅多に連れて行ってもらえなかった幼い娘のミアは、奮闘する母親をどう見ていたのか、(叶うものではないと思いますが)読んでみたいもんだと思います。

   


   

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