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「よい旅を」 ★★ |
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2014年07月
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95歳の著者が70年前の出来事、戦前の1937〜39年貿易会社社員として神戸に暮した体験と、1942〜45年オランダ領インドネシアで日本軍の囚人として刑務所生活を送った体験とをまとめて語った回想記。 著者は、父親の仕事の関係で1916年、中部ジャワ生れ。そして日本から東インドへの輸出の仕事のため、戦前の神戸に住み大阪の貿易会社に勤務していたとのこと。特に日本文化に興味を持っていた訳ではなく日本での生活は一定範囲にとどまるものだったようですが、穏やかな生活に満足していたようです。 そうした苦しい思いをさせられたというのに、著者の日本への視線はかなり公平なものです。短い間ですが神戸での暮らしで抱いた日本への好感、そして戦争中の出来事だったからと達観した姿勢がその背後にあるようです。 なお、著者はオランダにやって来た日本人旅行者に出会う度、声を掛けていたそうです。邦題はその気持から。 |