2001年6月
新潮社刊
(1800円+税)
2001/06/30
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第1章、第2章はやや退屈でしたが、宮沢内閣不信任決議から細川非自民連立政権が誕生したあたりから、俄然面白くなってきます。
記憶にまだ残るこうした近い歴史を改めて読み直す、というのは、面白いことです。当時は何がなんだか判らず困惑していたものが、前後の経緯を把握し、その背景および意味が判るようになるからです。本書は、細川連立政権から、国民福祉税騒ぎ、自社さ三党連立政権、自民党の復権
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小泉政権誕生と、問題点を整理し、実態を解明してくれる一冊です。
ただ、欧米でならいざ知らず、日本国内のことですから、振り返りさえすればそれらの問題点は理解済みのこと。したがって、その意味であまり新鮮味はありませんでした。
でも一方で、漠然と考えていた事が、本書によって裏付けられたということもあります。例えば、日本の政党と官僚の関係。よく比較されるアメリカの場合は、議員スタッフがかなりの立案能力を持っているようですが、日本の政治家にそれはなく、官僚がその役割を担ってきた、という事実。したがって、自民党政権だろうが非自民政権だろうが、スタッフは変わらないので政策にあまり違いは出てこない、ということ。でも、非自民政権が誕生したことにより、そうした官僚のパワーが世間の目に明瞭になったというのも事実。
小泉政権はまだスタートしたばかりですので、著者は必然的な政権として期待をかけているところで終わっています。
小泉政権が実績をあげるにしろ、挫折するにしろ、その結果として自民党はこれまでの古い体質を維持することはもうできないという点で、筆者と私の意見は共通します。小泉が失敗すればまた元に戻れるといった、古い派閥思考の自民党議員の考えは誤り。どちらにせよ、古い自民党の政治手法はもう終わりを迎えたのです。しかし、本来対抗勢力である筈の民主党に勢いがないことが、もうひとつの問題点。このままでは消極的な支持しか民主党には集まず、健全な政権交替は期待できそうにもありません。
日本の政治を見つめ続けて/時代の変化に目をつむる政治/自民党一党支配の終わり/細川政権の誕生と終焉/選挙制度をめぐる政治/自民党の政権復帰/永田町の論理の終焉
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