山田彩人
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1967年東京都生。2011年「眼鏡屋は消えた」にて第21回鮎川哲也賞を受賞し作家デビュー。

  


     

「少女は黄昏に住む−マコトとコトノの事件簿− 


少女は黄昏に住む画像

2013年03月
東京創元社刊

(1500円+税)

  

2013/04/07

  

amazon.co.jp

たまに軽いミステリものなどを読みたくなるもので、偶々図書館ですぐ借りられる新刊が目の前にあったので借りてみた、という次第。

童顔故にいつも高校生に間違えられるという姫山誠、25歳の刑事と、知人の一人娘でヒキコモリかつオタク女子高生である綾川琴乃というコンビによる連作ユーモアミステリ。
実は誠、不可解な事件の謎を何度も解き明かし、署内で
“名探偵マコちゃん”と呼ばれているが、実は裏あり。父親の後輩刑事である綾川さんから助言を貰っていた訳なのですが、綾川さんの入院を機に実は真の名探偵は娘の琴乃だったと知らされます。
そこから始まる2人のドタバタコメディ的ミステリ5篇。

見た目と実像が大きく異なる美少女探偵という設定で忘れられないものに北村薫“覆面作家”シリーズがありますが、あれもこれもとキャラクターを可笑しく創り過ぎてしまうと、かえってそれに捉われて肝心の推理要素が薄れてしまうもの。
誠・琴乃共通しての時代がかった口の利き方、誠のスウィーツ好き、琴乃の傍若無人ぶり等々。
それでも収録5篇のそれぞれに、多種にわたるミステリ趣向を持ち込んでいるところは評価しておきたいところです。
密室殺人事件、毒殺未遂、ポオのオマージュ、閉ざされた場所での殺人事件、有名人の殺人事件。
なお最終篇では、最後の最後でさらに笑わせてくれます。

ボールが転がる夏/毒入り缶コーヒー事件/たぶんポオに捧ぐ/吹雪のバスの夜に/密室の鍵は口のなか

 


  

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