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夜逃げ屋本舗

  


 

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●「夜逃げ屋本舗」● ★★
 脚本:大森寿美男・松井亜弥・菅正太郎、ノベライズ:中本肇

 


1999年4月
マイストロ刊

(1429円+税)

 

2003/04/26

TVでこのドラマを見たことはありませんでした。
本書を読む切っ掛けとなったのは、中村雅俊さん主演の新シリーズが始まると知ったこと、たまたま図書館の書架にあった為。

個人経営コンサルタント会社「ライジングサン」は、多重債務、悪質な金融会社の取立に苦しむ人の相談にのり、自己破産手続を手伝うという会社。その社長・源氏雅彦が本物語の主人公。
もっともそれは表向きの稼業で、自己破産では解決できないケースに至れば、最後の手段として提案するのは“夜逃げ”。そしてここぞと名乗るのが「お待たせしました、夜逃げ屋本舗です」という決めセリフ。
源氏の他、蜂田須麻子・浅宮賢宗・羽柴太陽、加えて押し掛け新人の深町小糸というのが夜逃げ屋本舗チームの面々。
彼らと毎度張り合うのが、大手信販「大帝都信販」の腕利き債権回収ウーマン・麻生貴倭子、悪徳金融「岩丸ファイナンス」の社長・岩丸とその腹心の部下・大城、という顔ぶれ。

安易に多重債務を繰り返した人の責任、夜逃げの結果被害を受ける人の有無という問題は確かにありますが、そこに拘泥してしまうとストーリィは進まない。その為、夜逃げする人達の止むを得ない事情、金融会社の悪徳さがちゃんと描かれています。
また、死ぬ程辛い思いを我慢して一からやり直す、夜逃げっていうのはそういうことなんだ、という源氏の「夜逃げ」観が確かであることも、本物語を魅力あるものにしています。
そして、悪徳金融会社の目の前から掻っ攫うが如くに、毎度ミッドナイトラン号を駆って見事夜逃げを成功させる結末は、やはり痛快な楽しさあり。

お待たせしました、夜逃げ屋本舗です/貧すれば鈍す/殺すぞ/借金の歴史/家族の絆/最後のパーティにようこそ/騙す男、騙される女/担保はあなたの人生/金融ウォンテッド/夜逃げ屋本舗に特別な客はいない

 


  

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