和田はつ子作品のページ


東京都生。
出版社勤務後、TVドラマ「お入学」の原作「よい子できる子に明日はない」で注目される。ホラーを中心に著書多数、近年は時代小説に注力。

 


   

●「噺まみれ 三楽亭仙朝」● ★☆




2008年07月
小学館刊
(1500円+税)

 

2008/09/27

 

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江戸時代の噺家を主人公にした小説ですから、どちらかというと人情ものかと思っていたら、これが何と時代ものミステリ。
探偵役は当代の人気噺家、三楽亭仙朝、という次第。
さてさて何でまた、噺家が探偵役を勤めることになるのか。

仙朝が得意で人気あるのは、怪談噺。
その仙朝の師匠で、仙朝の人気を妬んで意地悪をしたこともあるというのが今は故人の三楽亭遊仙
その遊仙の幽霊が出た、という噂が聞こえてくれば、仙朝が出て行かない訳にはいきません。
そんなことから出て行ったところ、とんだシャーロック・ホームズばりの事件に巻き込まれ、それで済むどころか次々と事件に関わりを持つこととなり、計3件という次第。
そんな時代もの連作ミステリ。

時代ものミステリ、それも芸人が探偵役となるのですから、随分と推理小説・時代小説の枠も広がったなぁと思ったら、他にもいました、役者が探偵役という時代ものミステリが。(田牧大和「花合せ−濱次お役者双六−
主人公となる三楽亭仙朝、艶っぽくもあり、若いのに噺家としての評判も高く、そして人物は優しくて中々洒脱、という人物。
味わいある主人公と言えますが、若いのに少々出来過ぎではないか、と思えてしまうところがちと残念。
第一話は充分面白かったのですが、第二話、第三話と進むと、何かキレが足りない、と感じます。
まだ若いのに人物が出来過ぎていて、成長という重要な物語要素を欠いてしまっているところが「花合せ」との違いか。
読む前の期待感からすると、ちと物足りず。

一話 幽霊師匠/二話 怪談泥棒/三話 黄金往生

         


   

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