高遠ちとせ作品のページ


1973年宮城県仙台市生。「波と遊べば」にてポプラ社小説新人賞特別賞を受賞し、同作を改題した「遠い町できみは」にて作家デビュー。

 


                    

「遠い町できみは ★★      ポプラ社小説新人賞特別賞


遠い町できみは

2024年03月
ポプラ社

(1800円+税)



2024/04/10



amazon.co.jp

海辺にある八重浜町、親が原因で辛い状況の中で生きる少年少女たちの葛藤、成長を描いたデビュー作。

小学六年生の
鳴海翔、母を亡くしたうえ、父親がその看護で心を病みんでしまい、八重浜町にある亡母の実家で、祖母と叔母の世話になることになります。
転校した学校で翔が気になったのは、除け者にされ孤立している同級生=
栗原大也のこと。
ふとしたことから大也と親しくなった翔は、同じくクラスで孤立していた
河崎美波からサーフィンを勧められます。
それから翔と大也は、美波と同様に、プロ・サーファーでサーフショップを営む叔母の
香夏子の指導を受けてサーフィンを始めることになります。

父親の不調により我慢を強いられている翔。不本意に若くしてシングルマザーとなった為なのか、母親
リカから育児放棄だけでなく、万引をさせられて泥棒のレッテルを貼られてしまった大也。義父の暴力に日々晒されてサーフィンだけを心の拠り所にしている美波。
しかし、翔が転校してきたことによって翔と大也、美波という3人に繋がりが生まれ、3人は前に向かって歩き出すことができるようになります。

孤立している状況はやはり厳しい。自分のことを思ってくれる誰か、心配してくれる誰かがいると信じられることが、どれだけ心の支えになることか。
でもそれは第一歩に過ぎません。
彼らが本当に成長する姿を見せるのは、守らなければいけない相手がいると気づくこと。それによって強くなり、成長することができるのですから。

しかし、成長することは歩む道が分かれることでもある。
それぞれの道を歩みだす彼らに、心からエールを送ります。


1.翔/2.大也/3.美波/4.翔/終章

       


   

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