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●「緑の石と猫」● ★★ |
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2009/11/07
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本書もまた、このところ多くなった“ファンタジー”のひとつと言ってしまえばお仕舞いなのですが、そう言ってしまいたくない気持ちがあります。 ファンタジーというより、不思議な世界を繰り広げてみせる短篇集、と言う方が似つかわしいように思います。 本書を読んでいる内に、いつの間にか読み手もその不思議な世界の中に主人公と共に取り込まれてしまっている、そんな風なのです。 その辺りが本書の魅力、実にお見事です。 昔飼っていた猫が、あの世とこの世を行き来できるようになったからと現れてからの不思議な出来事を描く「緑の石と猫」、 最後を締める「さよりおばあさん航海記」は、最後の蒸気船で世界一周クルーズに出かけた主人公が、船上で書いた友人に向けた手紙、という趣向。 猫のワルツ/緑の石と猫/龍宮の門/苔の花/水ヒヤシンス/ペンギンたちは会議する/赤いオルゴール/花観音の島/世界の果て博物館/さよりおばあさん航海記 |