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1.八月の青い蝶 2.逢坂の六人 3.虹 4.蘇我の娘の古事記 5.高天原−厩戸皇子の神話 6.とまり木 7.身もこがれつつ 8.うきよの恋花 |
「うきよの恋花−好色五人女別伝−」 ★★ | |
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色恋のどろどろした話は苦手なもので、どうしようか躊躇したのですが、周防作品であるからには読んでみた方が良いかな、と思い、挑戦する気持ちで読んだ一冊。 そうして読んだ結果はというと、読んで正解。流石は周防さん。 本作の元にあるのは勿論のこと、井原西鶴「好色五人女」。 さすがに西鶴本を読んではおらず、五人女の内容を知るのは今回が初めてです。 とはいえ、各篇、周防さんの新たな物語になっています。 どの篇もストーリィ展開が実にスリリング。 西鶴の書いた各物語の裏にどんな真相があったのか、という趣向で彩られており、ミステリ的な面白さがあります。 そしてその感覚は、現代的。 だからこそストーリィ明快でキレがあり、小気味良い。 これが面白くなかろう筈がない、という出来の良さです。 どの世にも、男女の恋愛があり、それと同時に困難や妨害もあり、それでも恋愛は止まらない、無くならない、ということでしょう。 なお、最終篇の「おまん源五兵衛、または、お小夜西鶴」は、西鶴「おまん源五兵衛」の話というより、西鶴自身を主人公にした篇。 実はそれまでの4篇、西鶴を俳諧の師とする薬売りの山善が、全国を歩き回る中で、西鶴の興味を引きそうな話を拾い集めて来た、という設定。 そして、この篇では西鶴が、亡き女房=お小夜との過去を振り返る、という趣向になっています。 その所為か、前4篇の印象からは様変わり、ちょっと苦い味わいになっています。 八百屋お七/おさん茂兵衛/樽屋おせん/お夏清十郎/おまん源五兵衛、または、お小夜西鶴 |