下村敦史
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1981年京都府生。2014年「闇に香る嘘」にて第60回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。

  


       

「緑の窓口−樹木トラブル解決します− ★☆




2017年08月
講談社刊

(1550円+税)

2020年04月
講談社文庫



2017/10/01



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生活保護者に入れ込んでストレスを抱え込み過ぎてしまった区役所職員の天野優樹・24歳が主人公。
心配した上司が配慮し、新設されたばかりの
「緑の窓口」へ先輩職員の岩浪大地・26歳と共に異動になります。
鉄道切符の手配ではなく、樹木トラブルに関する区民からの相談に応じる部署という本部署ですが、さてどう活動して良いやら。
さっそく持ち込まれた、杉の伐採に関わる嫁姑の対立に引っ張り込まれた2人、
“樹木医”だという柊紅葉(ひいらぎくれは)という若い女性と出会います。
そこから始まる、不器用で初心、花言葉が大好きな区役所職員の天野優樹と、樹木に詳しい一方人間関係が苦手な柊紅葉というコンビ、それに追えて何かと賑やかな岩浪大地という3人を主要登場人物に据えた樹木もの連作日常ミステリ。

「全ては樹木が語ってくれました」というのが、樹木トラブルの謎を解明した時の柊の決め台詞。
ただし、謎を解明したからといってトラブっている人間同士の争いを解決するまでには至らず。そこは、人間関係に疎い柊を後を引き取って天野が関係者間の感情の縺れを読み取って最終解決に導く、というのが定例パターン。

樹木に関する謎という設定が珍しく、面白い上に勉強になるところ大。
それと共に、鈍感な柊と不器用極まりない天野という2人の純情青春風、恋愛要素も楽しめるという構成です。
基本的に悪人は登場しませんから、気軽に楽しめる一冊です。


プロローグ/症例1.スギを診せてください/症例2.クヌギは嘘をつきません/症例3.モッコクの落とし物です!/症例4.ソメイヨシノは実は、/症例5.チャボヒバを前に無力です・・・・/症例6.全ては、樹木が語ってくれました/エピローグ

  


  

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