相良敦子作品のページ


1959年生、東京都出身、学習院大学文学部史学科卒。「アナモルフォーズ」にてNHK制作ラジオドラマ脚本懸賞に入賞し、脚本家。

 


           

「アデリータの背中 ★☆


アデリータの背中

2016年03月
文芸春秋刊
(1200円+税)

 


2016/04/24

 


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脚本家の相良敦子さん、初の小説作品、短篇集。

一口に短篇集といっても大抵は収録作品に共通性があるものですが、本書は全くバラバラ。その点でちと戸惑う処もありました。

「せうじの穴の天の川」は死期間近の義父を自宅看護として引き取った顛末。主人公は義父の俳句好きを全く知らず。その義父の意識は江戸時代に飛び、小林一茶と共に旅するという喜びを得、主人公はその義父が遺した俳句の中に自分への気遣いを知る、という内容。何とも楽しく、何とも温かい内容です。
「瓜提灯とぴくるす」は文明開化の明治の世が舞台。代々続く漬物屋の女隠居は日本人にはこれまで通りが一番と固く信じていたのですが、可愛がっている孫娘の影響で、変化を受け入れても良いという気になるというストーリィ。現代にも通じる内容であるところに何とも親近感あり。
「掘る」は、何と古代中国が舞台。2人の幼馴染の別れと再会が何ともユニーク。

「アデリータの背中」はNHKの朝ドラ「ウェルかめ」のスピンオフ作品。ドラマ主人公の弟で、模試結果から大学進学に迷い始めた浜本航が主人公。
なお、アデリータとは、調査のため無線機をつけてメキシコ湾で放たれた雌の海亀の名前。


せうじの穴の天の川/瓜提灯とぴくるす/掘る/アデリータの背中

                 


   

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