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「みどりいせき」 ★★ すばる文学賞・三島由紀夫賞 |
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出だしの文章からして、一般的な小説の文章とはかなり違う。 昔、初めて庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」を読んだ時に困惑した気分とよく似ている。 主人公は桃瀬という高校生。 偶然、小学生の時にバッテリーを組んでいた1歳下の女子=春に再会したと思ったら、怪しい商売をするメンバーの中に組み込まれていた。 コンビニのバイトもきちんとやらず、ずるずると犯罪まがいのことに入り込み、倫理観も欠落しているような高校生という主人公像、とても付き合いきれないと感じたストーリィ。 しかし、そこには確かに、仲間のことを気づき合い、何かあれば助け合おうという連帯、友情があったのです。 斬新でいささかクレイジー、でもまさにこれも青春、といったストーリー。 読む前、読み初めには思いもしなかった満足感あり。 如何にもすばる文学賞らしい一作です。 |