小俣麦穂作品のページ


1977年長野県生、日本デザイン専門学校グラフィックデザイン科卒。戦国時代の山村を舞台にした少年の成長物語「さつ太の黒い子馬」にて2015年度講談社児童文学新人賞佳作を受賞し作家デビュー。同作品は、2016年度松本市文化芸術奨励賞およびJRA賞馬事文化賞も受賞。

 


                   

「ピアノをきかせて ★★




2018年01月
講談社刊

(1400円+税)



2018/04/02



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主人公は小学6年生の土屋響音(ひびね)、自身はピアノを弾きませんが、とても音楽に対する感性の良い女の子です。
その響音が気にするようになったのは、ずっとピアノを続けている1歳上の姉=
千弦(ちづる)の弾く音に、弾むような、楽しい響きが感じられないこと。
それが原因なのか、何となく家族4人の間もギクシャクし始めているように感じられて・・・。

母親がいつも千弦のピアノにつきっきりの所為か、祖父母の家に泊まることも多い響音、実家に戻って来た若い叔母の
塔子から、突然助っ人になって欲しいと頼まれます。
塔子が高校までピアノを習っていた小宮山音楽教室が“ふるさと音楽祭”へ出演することになり、ピアノ演奏に歌と踊りを組み合わせた簡単な音楽劇みたいなものを考えているという。
メンバーに
小宮山先生の教え子で、憧れの中2生=赤峰秋生がいることも大きい。響音の誘いに親友の中山美枝も喜んで参加し、4人の練習がスタートします。
響音、これがきっかけとなって千弦が音楽の楽しさを思い出してくれるといいと願います。

音楽の楽しさが活き活きと伝わってくるストーリィ。
どんなに好きなことでも、上手くなることだけが目的になってしまうと、次第に喜びは失われていってしまうのでしょうか。
何よりも楽しいこと、楽しい音楽の大切さを知っている4人の姿が素敵です。そしてそれは、孤立を深めているような千弦の姿と対照的に映ります。
千弦を心配しつつ、それを抑えるようにしてじっと見守っている家族たちの姿も愛おしい。

児童向けの作品ですが、大人が読んでも、清純で心洗われるようなストーリィです。こうした作品を読めるのは嬉しい限り。


雪の音楽と焼きいも/卒業式/燈台と騎士/長い一日/騎士からの招待/アポロ・クラシック・ピアノコンクール/ユリとバラ/千弦の迷宮/ジグゾーパズル/ドライブと衣装とお裁縫/お母さん/迷宮にさす光/フルーツポンチの恋/スパンコールをつなぐ糸/想いをのせて/再生の音色/空はかがやく

        


   

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