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31.春休みに出会った探偵は 32.百年かぞえ歌 |
【作家歴】、配達あかずきん、晩夏に捧ぐ、サイン会はいかが?、片耳うさぎ、平台がおまちかね、夏のくじら、スノーフレーク、ねずみ石、背表紙は歌う、かがみのもり |
キミは知らない、プリティが多すぎる、クローバー・レイン、ふたつめの庭、ようこそ授賞式の夕べに、忘れ物が届きます、だいじな本のみつけ方、空色の小鳥、誰にも探せない、スクープの卵 |
よっつ屋根の下、本バスめぐりん。、横濱エトランゼ、ドアを開けたら、彼方のゴールド、さよなら願いごと、もしかしてひょっとして、めぐりんと私。、バスクル新宿、27000冊ガーデン |
「春休みに出会った探偵は」 ★★ | |
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15歳、もうすぐ中三の安住花南子は、両親が3歳の時に離婚して以来ずっと父子家庭。その父親がシンガポール転勤となり、曾祖母の五月さん(83歳)が所有する<さつきハイツ>の一部屋に引っ越しすることになります。 しかし、早々に五月さんがぎっくり腰で入院、花南子は一人で留守番を務めることになります。 花南子とクラスは違うけど料理部で一緒という根尾新太は、母子家庭とあって、花南子と通じ合うところあり。 その二人が偶々遭遇した、近所に住む独居老人宅での不可解な出来事。その謎を鮮やかに解き明かしたのは、さつきハイツの2階の住人である今津という30代男性。 その今津、小さな調査会社の調査員だという。 ちょうど春休みという暇な時期。花南子と根尾は、町内で起きる不審な事件に次々と首を突っ込み、二人が勝手に「名探偵」と決めつけた今津が迷惑面するのも構わず、その度に今津を引っ張りこもうとします。 という設定の、大崎さんらしい日常ミステリ連作。 しかし、最大の謎は最後に待ち受けていました。それは、花南子自身に関わること。 さてそれは何か・・・・それは読んでのお楽しみです。 なお、現代だからこそ成り立つ真相、ですね。 花南子と根尾、さらに今津という取り合わせと、春休みといった浮かれやすい時期がマッチングした、楽しめる軽快ミステリ。 きらきらを少し/ここだけに残ってる/マイホームタウン/おばあさんがいっぱい/ここから上がる |
「百年かぞえ歌」 ★☆ | |
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大崎梢作品は連作ミステリというイメージが強いのですが、本作は久々の長編ミステリ。 それも著名な作家が遺した<かぞえ歌>に潜む謎に挑むという、文学的なストーリー。 神奈川県西部にある里海町、その町役場で観光促進課の職員である坂口由香利は、同町出身である著名作家の<貴地崇彦生家館>の担当者。 その由香利をある日、群馬県警の刑事2人が訪ねてきます。 由香利が後から知ったことには、同県山中で男性の遺体が発見され、そのポケットに、よしだたかし(貴地崇彦の本名)が里海町の某人物宛てに出した昭和35年 3月付けの葉書が見つかったという。そしてその裏面には<かぞえ歌>が。 すると、貴地崇彦の愛人だったという噂のある旧知の仲村艶子までが里海町に。先生が言い遺した望みを叶えたい、ついては葉書の真相を明らかにしたいと由香利に協力を求めてきます。 そして調査の途中、関係者の血縁者として現れたのが、由香利の中高同級生だった小林夏央。 そこから、艶子・由香利・真央の3人は 100年も前に起きた事件の謎を追うことになります。 殺人事件?の謎を追うのではなく、貴地先生が遺した葉書とその<かぞえ歌>の謎を追うもの。調査は、その頃の貴地先生を知る人への聞き込みによる、というのが本作ミステリの趣向。 趣向および展開の面白さは感じますが 100年も前の事件というのが、どうも切実感・現実感に欠け、今一歩という読後感。 1.予期せぬ来訪者/2.先生の友だち/3.過去への扉/4.昭和三十四年と三十五年/5.言わずに死なないで/6.お屋敷の中/7.見通しの悪い迷路/8.特別な何か/9.空白ばかりのパズル/10.懐中電灯を握りしめ/11.かぞえ歌は語る |
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