似鳥 鶏
(にたどり・けい)作品のページ


1981年千葉県生、千葉大学教育学部卒。北海道大学法科大学院在学中の2006年、「理由あって冬に出る」にて第16回鮎川哲也賞に佳作入選し、07年同作にて作家デビュー。シリーズものに“市立高校”“楓ヶ丘動物園”“戦力外捜査官”等あり。


1.夏休みの空欄探し 

2.みんなで決めた真実 

  


       

1.

「夏休みの空欄探し Searching for blanks in the summer vacation ★☆   


夏休みの空欄探し

2022年06月
ポプラ社
(1600円+税)

2024年06月
ポプラ文庫



2024/07/11



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高校生の夏休み、ミステリ、恋愛というストーリー要素に、ふと読みたい気持ちにさせられて読んだ作品。

主人公は都立高校2年の
成田頼伸(らいしん)→「ライ」。何についても<知ること>が大好きという性格のため知識は豊富だが、一方で地味、コミュニケーション能力も高くない。
そのため、同級生で人気者の
成田清春→「キヨ」に比較され、同じ姓であることから「じゃない方」と呼ばれている。

そのライ、バーガー店で、何か暗号を解こうとしている美人姉妹と隣り合わせ、つい興味を引かれて解答を教えた処から、すっかり意気投合。その結果、大学生の姉=
立原雨音と高一の妹=七輝に請われ、ある人物の遺産を示すらしい暗号を解き明かすことを手伝うことになります。
折しも、そこにバッタリ来合わせたのがキヨ。
美人の雨音に惹かれたらしく、ライと親しいフリをして仲間に入り込んできます。

そこから4人による、暗号を辿り、そこに示された場所を辿るという、夏休みの冒険的な日々が始まります。

暗号解読に大活躍するのはライ。
その結果、ライの知識を「何の役に立つ」と馬鹿にしていたキヨがライを見直すこととなり、さらに人気者故のキヨの悩みも打ち明けられるという、高校生らしい展開に。
しかし、驚かされるのは、終盤で明らかにされる姉妹の謎。
まぁ、元々<暗号>自体にヘンな処があったのですが。

宝探し、旅気分もちょっと味わえ、それなりに楽しめました。

             

2.

「みんなで決めた真実 Our Agreed Truth ★★   


みんなで決めた真実

2025年08月
講談社

(1800円+税)



2025/08/29



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TVで実況中継された名探偵の推理を見たじいちゃん、名探偵の推理は間違っている、と。
そんな紹介文に興味を惹かれて読んだ次第です。
名探偵の推理を、フツーのじいちゃんがあっさり覆してしまう逆転劇、単純にそう思ってしまったのですが、本作の内容、はるかに根の深いストーリーでした。

主人公は、法学部2年の大学生である
悠人。小学生以来の親しいご近所さんだった「じいちゃん」は今老人施設に入所しており、悠人は度々面会に訪れている。
たまたま殺人事件のドキュメント番組を見ていた処、登場した「
名探偵」の推理にじいちゃん、間違っている、と明言。

今や、法廷での撮影、中継・配信が認められた世界。
それを踏まえてTV各局が、「名探偵」たちの調査・推理〜法廷審理・判決という一連の流れをドキュメントとして放送するようになり、名探偵の推理がそのまま警察、検察官に採用され、判決もその流れで決まってしまうという恐ろしい状況が生じている。ただし、さすがに裁判官も、幾ら何でも大丈夫かという危惧があり、殺人事件であっても執行猶予が付されるのが常。

ところが、悠人とじいちゃんの親しい青年=
内海達樹が殺人事件に巻き込まれ、TV局から、名探偵が「真犯人はあなただ」と名指しする台本を突きつけられます。
この事態に、じいちゃん&悠人、そして弁護士の
向井はどうやって達樹を救い出すのか。じいちゃん曰く、ただ推理するだけでは不十分なのだ、と。

ストーリーの舞台設定がすこぶる面白い。
そのうえで、<名探偵+TV局+ネット観衆>対<じいちゃん+悠人+弁護士>という対立構図。
さて、どんな展開が待ち受けるのやら、どうぞお楽しみに。
それにしてもTV局、視聴率さえ取れれば何をやっても構わないという節操のなさが、本ストーリーの根底にあるような気がするな。

       


  

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