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21.ダンシング玉入れ |
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弱法師、ケッヘル、サイゴン・タンゴ・カフェ、悲歌、小説を書く猫、愛の国、男役、娘役、ゼロ・アワー、銀橋 |
「ダンシング玉入れ」 ★★ | |
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「ゼロ・アワー」で描かれた、コードネームをシェイクスピア戯曲の登場人物名にした<沙翁商会>の殺し屋たちが登場する、シリアスかつユーモラスなサスペンス・ストーリィ。 本作で主人公となる殺し屋はコレオレイナス。そしてその標的はというと、何と宝塚歌劇団月組のトップスター=三日月傑。 何で宝塚のトップスターが殺し屋に命を狙われなければならないのか? しかも殺人と分からない方法で殺せという指示には、驚愕させられると同時に興味津々。 とはいえ、超多忙でいつも人に囲まれているトップスターをそれと気づかれないように殺すなど、相当に困難なことでは、と素人でも感じること。 まずは、トップスターはどういう存在で、どういう毎日を過ごしているのか知ることが命令遂行には不可欠という訳で、小太りの中年女性でヅカファンというハーミアが、コレオレイナスへの宝塚指南役として配されます。 そこからの展開が、全くの予想外の繰り返しで面白い。 何でそうなってしまうのか? そうなってしまっていいの? という具合です。 一方、気づくとこれは、宝塚の男役トップスターとは如何なるものかを語り尽くす内容にもなっているのです。 つまりは、「男役」の世界と「ゼロ・アワー」の世界を融合させたうえでのコミカルなサスペンス、と言って良いストーリィ。 それにしても宝塚のトップスターとはこんなにも激務なものかと驚嘆します。 一方、コミカルなサスペンスと言えども殺し屋たちが主役ともなれば、こんなにも恐ろしい結末が待ち受けているものかと、震えあがる気分です。 読み手の好み次第とは思いますが、私としてはお薦め。 ※題名の意味は途中で分かります。どうぞお楽しみに。 |
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