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「うるうの朝顔」 ★☆ 小説現代長編新人賞 | |
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霊園管理事務所に勤める日置凪という青年。 その青年が各篇主人公に手渡す不思議な朝顔の種。 “うるうの朝顔”というその花が咲くと、ほんの少し変わった過去をもう一度体験でき、その瞬間から心のズレが正しい位置に修正されるのだという。 ※「うるう」とは、「うるう年」のうるう、とのこと。 ・「チョコレートの種」:離婚し、息子を連れて実家へ戻った綿来千晶は、頼りにしていた母親に死なれ、自分に自信が持てないままでいる。 ・「ルビーの種」:映画配給会社勤務の国見頼(より)、採用面接時に親切にしてもらった先輩社員=香椎佐和に好意を感じているが、近づき難いものを感じている。 ・「汐の種」:男鹿三多介は、孤独に死んだ幼なじみ=マサこと森川雅勝との間に、誰にも打ち明けていない過去を抱え込んでいる。 ・「いろみずの種」:小五の小野木ひまりは、突然に死んだ担任のみかげ先生(御影麻希)の亡霊を見続けていて、何か苦しんでいる。 ・「雨粒の種」:日置凪自身を描いた篇。 何故、彼は不思議な朝顔の種を持ち、管理している霊園で出会った人たちにその種を渡したのか、そして、彼自身は、どんな問題を抱えているのか・・・。 過去の知らずにいた場面を知ることによって、一連の出来事が腑に落ち、そこから新しい一歩を踏み出すことができる、という再生ストーリィ。 ファンタジー要素をたった一つ持ち込み、それによって扉を開けていくという趣向による、再生ストーリィ連作。 ただ、頭では理解できるものの、ストーリィ展開がもうひとつ腑に落ちきれないでいる、そんな気持ちが残ります。 1.チョコレートの種−toxin−/2.ルビーの種−observation−/3.汐の種−spiral−/4.いろみずの種−colorful−/5.雨粒の種−alien− |