御木本あかり作品のページ


1953年生、千葉県出身。お茶の水女子大学理学部卒。卒業後NHK入局。夫の海外転勤で退職し、その後通算23年間外交官の妻として世界9ヶ国で生活。本名の神谷ちづ子名義でエッセイ等の著書あり。2022年「やっかいな食卓」にて作家デビュー。

 


                   

「やっかいな食卓 ★★


やっかいな食卓

2022年10月
小学館

(1500円+税)



2022/11/01



amazon.co.jp

一応は二世帯住宅という構えですが、一つ家に住むとなれば当然の如く生じる、嫁と姑の意見相違ならびに対立。
そこから始まる、ドタバタ的な家族ドラマ。
意見対立の一つに<食>がある一方で、彼らを一つ家族として繋げるものも<食>だった、という<食>あってのストーリィ。

外交官の妻として忙しい日々を送ってきた
高畠凛子ですが、夫は死去し、今は得意の料理を楽しみながら気ままに日々を過ごしている。
もう一方の主人公は、次男=建の妻でフードスタイリストとしてのキャリアップを目指して奮闘、常に忙しない日々を過ごしている
緑川ユキ
凛子と同居していた長男の
が突然交通事故死し、建が言い出して、ユキ一家は凛子の家に同居することになります。

優雅に料理を楽しむ凛子に対し、仕事優先で食事は出来合いのもので済ますことの多いユキですから、凛子の言動にユキがやたら過剰反応して苛立つ、ということの繰り返し。
その間で板挟みになっているのが、夫である建と小4の息子=
という構図。
しかし、旬の食が糸口となり、またユキの窮状を凛子に助けられたりする中、見も知らなかった少女=
鬼塚叶(かの)が高畠家に飛び込んできたりと、ストーリィは坂道を転がるように展開していきます。
さらに家を出た長女の
まで勝手なことを言い出し・・・。

あれよあれよと進んでいくストーリィ自体も楽しいのですが、それ以上に楽しいのは、凛子が作る料理でしょうか。
そして何より魅力なのは、どこの家庭にもあるようなドラマであると共に、凛子が作るのが普段着の料理だからでしょう。

親近感があるからこそ楽しめる家族ストーリィ。
やはり子供は元気でいてほしいものです。

        


   

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