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「肉と衣のあいだに神は宿る」 ★★ | |
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トンカツ屋の看板娘を主人公にしたコンカツ・ストーリィ。 地元名物“さくさくかつ丼”の元祖「情熱とん」は、ネットで美味いと評判になり、地元だけではなく遠くからも客が押し寄せ、店の前にはいつも行列ができるという評判のトンカツ屋。 主人公の美衣はその看板娘で、大店長の父親と店長の兄=勝美と共に店を切り回す他、姪の麗奈の面倒も見ているという、美人なのに浮いた処のない堅実な女性。 そんな美衣が何故かコンカツに勤しむことになり、トンカツ屋家族ストーリィ&コンカツ記、というのが本作品の内容。 美衣、店で働いている様子は実に生き生きとして、何とも楽しそうです。名物のかつ丼と美衣が差し出すみそ汁を美味しそうに味わっているお客さんたちと幸せを共にしているという印象。 それと対照的に、婚活トレッキングやお見合いパーティ等々での美衣は義務的に周りに合わせているという風。その居心地悪さは読者も共有する処です。 <結婚=女の幸せ>と何故決めつけるのでしょうか。 自分にも家族にも他人にも幸せを振りまいている今の状況の方が余程幸せではないのか。 何故、美衣がコンカツを始めたのか、その理由は後半で明らかにされます。 人の幸せって何だろう?と改めて考えさせてくれる、とても居心地の良い作品。 佳い味が出てますよ。 |