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1.甘夏とオリオン 2.ジュリーの世界 |
1. | |
「甘夏とオリオン」 ★★ |
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2022年02月
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主人公の女性落語家=桂甘夏は、銭湯の2階に下宿して仕事を手伝いながら落語家としての修業をしている日々。 その甘夏の師匠で、噺が上手く、しかもイケメン、独身ということで人気の高かった桂夏之助が突然に失踪し、帰らぬまま。 途方に暮れていた甘夏と2人の兄弟子=一夏・若夏の3人は、<三夏の会>主催として「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を、師匠が帰って来るまで毎月、甘夏下宿の銭湯が営業を終了した後の午前0時から開催することに決めます。 趣向は、毎月テーマを決めて、そして師匠格の落語家を毎月一人ゲストとして招く、というもの。 さて、夏之助師匠は戻って来てくれるのか。 ストーリィ自体ももちろん興味津々なのですが、それ以外に落語家の世界がいろいろ紹介されるように描かれているところが面白く、また楽しい。 甘夏、一夏、若夏と、落語家を志す前にドラマ、夏之助師匠のどの落語がきっかけとなって入門を決めたのか、そして落語家として成長していくためにそれぞれの課題等々。 その中でも、もちろん主人公である甘夏が中心。とくに女性落語家の味わう壁、男性落語家以上の苦労が語られます。 つまり、落語の主要登場人物は男性ばかり。女性が男性を自然に演じるためには、男性落語家以上の修業が必要という次第。 成る程なぁ・・・単なる男女差別の問題ではないのですね。 なお、本ストーリィの楽しみは、落語のいろいろな噺を紹介してもらえるところ。 落語にまったく不案内の私としては、多いに楽しかったです。 1.師匠失踪/2.宿替え/3.泣き虫甘夏/4.うなぎや/5.鴻池の犬/6.代書/7.発覚/8.「つる」の道/9.深夜寄席/10.狐と掏摸/11.らくだ/12.仔猫/13.小夏乱心/14.西の旅/15.ちくわとドーナツ/16.前夜/エピローグ |
2. | |
「ジュリーの世界」 ★☆ |
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2023年09*月
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1979年、京都の河原町に「河原町のジュリー」と呼ばれるホームレスがいた。 彼はいったい何を見ていたのか・・・。 その当時、三条京極交番に配属されたばかりの新米警官=木戸浩介を中心に据え、40年後にまたがって語ったストーリィ。 そのジュリー、町の人々から忌み嫌われるというようなことはなく、町に溶け込んだ存在として見られていたらしい。 どういう時代だったのか。 歌謡界では、沢田研二や山口百恵が注目を集め、サザンオールスターズが登場したばかり。 私は東京生まれ、東京育ちなのでピンと来ませんが、その頃の京都、河原町周辺の姿は今と違ったものだったのでしょうか。 いずれにせよ、本作を読んで浮かび上がってくるものは、当時の河原町の姿です。 なお、「河原町のジュリー」は実在した人物とのこと。 本作は、その人物が人影もまばらな早朝に東の空を見上げているのを見かけたという個人的体験を起点に描いたフィクションとのこと。 プロローグ/1.花の首飾り/2.坂の向こう/3.夜の猫たち/4.鳥の名前/5.熱い胸騒ぎ/6.ジュリーと百恵/7.黒と白の季節/8.四十年後/9.真珠貝/10.再会/エピローグ/あとがき |