真下みこと作品のページ


1997年埼玉県生、2020年現在早稲田大学在学中。19年「#柚莉愛とかくれんぼ」にて第61回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。


1.#柚莉愛とかくれんぼ

2.茜さす日に嘘を隠して 

 


                   

1.
「#柚莉愛(ハッシュタグ ゆりあ)とかくれんぼ ★☆  メフィスト賞
   Catch "Yuria" if you can


柚莉愛とかくれんぼ

2020年02月
講談社

(1300円+税)

2021年11月
講談社文庫

2020/04/06

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普段だったら手を出さないタイプの作品だと思うのですが、借りることができたので読んだ次第。

結成後3年目だがまだメジャーデビュー出来ていない女子3人組のアイドルグループ<
となりの☆SISTERs>。
そのセンターをずっと務めている
青山柚莉愛(高校2年)と、このグループをSNSで追いかけている<@TOKUMEI>を主軸にしたストーリィ。
地下アイドル、そのファン、SNSという道具立ては、如何にも現代かつ若者的です。

ネット配信時、柚莉愛がマネージャーから指示されたままに行ったことが、ファンを騙した、馬鹿にしていると怒りを買い、大炎上。
そこには、いつの間にかアイドルを自分の望み通りに動く存在と思い込んでいたファンが意図的に企んだ炎上という事実もあります。

注目すべきは、<@TOKUMEI>と名乗る人物の正体、そして最後の展開。
予想もしなかった顛末に驚かされますが、結末の後味悪さは気になりますし、リアル感があるかと言えばイマイチ。

            

2.
「茜さす日に嘘を隠して ★★


茜さす日に嘘を隠して

2022年06月
講談社

(1400円+税)



2022/07/30



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青羽悠「青く滲んだ月の行方とペアになる、“大人未満”5人の女子学生たちを描く連作式青春群像劇。

どうペアか?というと、「青く」で登場した女子学生たちが本作では主人公という立場になります。
ですから、逆の側から見る、という感じ。それが面白い。

「砂が落ちる」は、「青く」の第二話「街の地球人たち」に登場した宮下愛衣が主人公。性悪女の典型といった印象だった愛衣の切ない姿が描かれていて心に残ります。

本書で惹きつけられたのは、
井ノ坂皐月の姉妹。
「さんざんな朝」「手紙」「色を変えて」の3篇に登場します。
「青く」の
第一話「端正な夜」に登場する皐月は、しっかりと自分の道を歩んでいるという印象でしたが、本作ではまるで違う。
傍目と実像はこんなにも違うものかと、驚かされます。

その皐月が敗北感を感じているのが、妹の文。高校の時からネットに自作の歌をアップし始め、顔出しはしていないものの、今では現役女子大生シンガー<ふみ>として活動中。
そんな文も、皐月の思いも寄らぬトラウマを抱えている、という次第。
これもまた才能あるシンガーという虚像と実像の差の大きいところが面白い。

「青く」は★☆、本作は★★という評価になりましたが、「青く」という土台があってこその面白さが本作にあった、と思っています。


1.さんざんな朝/2.砂が落ちる/3.手紙/4.あと1歩/5.色を変えて

      


   

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