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「完黙の女」 ★★ |
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実在の未解明事件をベースに、沈黙の魔性を描く実話ミステリ、とのこと。 <小四男児行方不明事件>、手掛かりが全くつかめないまま未解明となる。しかしその三年後、火事で主人が焼死した母屋から離れた納屋で、子どもの遺骨が発見される。 行方不明だった男児ではないか。捜査陣は色めき立ちますが、元ホステスで焼死した男性と奇妙な夫婦関係にあった三藤響子は刑事たちの強硬な聴取に黙秘を貫く・・・。 主人公となるのは、私立大学で教鞭をとる一方、長編小説も発表している私(前田)。出版社との約束で上記事件を元にノンフィクション・ノヴェルを執筆すべく取材を続けますが・・・。 この主人公が探偵か?というと、そうではないのです。事件を解明できなかった警察の方が、未だいろいろな事情を握っている。 そしてさらに、<中一女子誘拐事件>が、関連する事件として浮かび上がってきます。 後半、すべての様相が次々と裏返っていき、思いもよらない事実が明らかになっていく。 真実は何なのか。そこまで積み上げてきた推測が、終盤、一気に崩され、途方に暮れる気分です。 そのうえで、さらに驚愕させられる事実が・・・。 そして最後・・・・こんな結末があって良いのでしょうか。もう、呆然とするしかありません。言葉も出ない、というのはこういう時のための言葉かと思うばかり。 本作を勧めていいのかどうか、正直なところ、迷います。 <プロローグ>/1.骨/2.沈黙/3.少女/4.目撃者/5.真相/<エピローグ> |