|
|
1.あした、また学校で 2.てのひらに未来 3.サイコーの通知表 4.だれもみえない教室で 5.ルール! |
「あした、また学校で」 ★★☆ | |
|
地区の大縄跳び大会。 小6の一将の弟である小2の将人が、自由参加の筈の朝練に来なかったからと、皆の前で先生に怒られ泣いていたという。 「だってさ、荻野先生、『できない子は早く来て』って言ったんだよ」「だったら・・・」「ぼく、できるもんっ」 同級生にまで文句を付けられ、将人はそれ以来登校せず。 「学校はだれのものかって・・・考えたことはありませんか?」 ハシケン先生のその一言をきっかけに波紋は次第に広がっていきます。 一将や幼馴染の同級生=新見咲良が訴えても、荻野先生、きちんと聞いてくれたとはとても思えない。 それは、兄弟の母親が学校を訪問して校長たちに訴えても、PTAでも同じ。この場を収めようと、わざと問題をすり替えていると感じる。 このまま卒業してしまってよいのか。 小学生4人、何とかしなくてはいけないと行動をし始めます。 簡単に答えが出せるような問題ではないと思いますが、当事者である子供たちが自ら考え、行動してみるところが素晴らしい。 そう、学校へ行くことが楽しいと思えるかどうか、学校が楽しいと思えるところがどうかが、かかっているのですから。 単に学校の問題だけでなく、何ごとも最初から諦めてしまってはいけない。何かできることがあるのではないか、と4人が学んだところも素晴らしいところ。 なお、決して学校だけの問題ではないですよね。 1.事件/2.代表委員会/3.すきやき/4.職員室/5.PTA運営委員会/6.卒・家族/7.優等生のあたし/8.学校支援地域本部/9.教師という仕事/10.学校は、だれのものか |
「てのひらに未来」 ★★☆ | |
|
主人公の琴葉は中学二年生。 家は、町工場の多い地域で金属加工業。父母と小三の弟という4人家族。 しかし今は、2年前に父親が恩人から頼まれて家に迎え入れ、会社で働かせている葛木天馬・17歳がいる。 その天馬、何かの事情から荒れて、居場所がなかったらしい。 父親の会社、大口の注文を断わってから注文が減り、苦境にあるらしい。しかし、ガンコ者の父親は何も語らない。 そんなことから琴葉、天馬といろいろ話すようになるのですが。 生きていくうえで大事なことは何なのか。家族らしい家族とはどういうものなのか。そして、仕事とは・・・。 様々な問題、天馬が抱えている問題を知って、琴葉、いろいろと考え始めます。 琴葉だけでなく、友人のさよりも美術部の部員たちと一緒に、平和というものについて考えるようになります。 今まで目の前のことだけを考えていただけの琴葉たちが、未来や平和について考えるようになるまでのストーリィ。 将来が、未来が良くなるためには、今の子供たちにもそれら問題をきちんと考えてもらえるようになることが大事だと思います。 彼らがこれから築いていく未来に期待したい、そんな気持ちになる作品です。 1.火球/2.天馬/3.けんか/4.銀行/5.家族/6.選択肢/7.戦争/8.工場見学/9.信念/10.無言館/11.春光 |
「サイコーの通知表」 ★★☆ | |
|
小四のクラス。朝陽(あさひ)、大河、叶希(とき)、それぞれ事情も理由も異なるものの、通知表に不満。 <できる>>ばかりの朝陽は、自分がつまらない人間と断定されているようでがっくり。大河は通知表が良くなかったのでクリスマスプレゼントを減らされた、と不満。 優等生の叶希には不満などないだろうと思っていたら、叶希も通知表なんか無い方がいい、という。 何故通知表なんかあるのだろう、何のために必要なのだろうと考え続けていた朝陽が思いついたのは、そうだ、僕たちも担任教師であるハシケン先生(橋本健太、教師4年目)の通知表を作ってみよう!ということ。 実社会においても、上司が部下を評価するだけでなく、部下が上司を評価する仕組みを取り入れた企業が以前話題になったことがありますが、それと類似するストーリー、小学校版かと思いました。 しかし、とんでもない、そんなレベルで終わるストーリーではありませんでした。 通知表で大切なことは何なのか、その大切なことを果たすためにはどうしたらいいのか、子どもたちがそのことに気づき、そして行動するところが素晴らしい。 最後は、ハシケン先生のみならず、感動で胸がいっぱいになりました。 子どもたちを決して侮ってはいけない、「だれもみえない教室で」と同様に感じた教訓です。 お薦め! 1.ぼくの通知表/2.「ふつう」の証明書/3.通知表をつけよう!/4.体育の時間/5.相対評価と絶対評価/6.十才のゆめ発表会/7.ハシケン先生の反乱/8.通知表のない学校/9.大久保先生にインタビュー/10.先生の観察/11.ぼくの夢/12.通知表、発表します! |
「だれもみえない教室で」 ★★★ | |
|
表紙裏に記された「大人はバカか? 子どもをなめているのか? あやまればすべて元通りになると本気で思っているのだとしたら・・・」という言葉が、胸に突き刺さるような気がします。 そう、そのとおり、と声を大にして言いたい。 「火を粗末にすると消せなくなる」、その言葉を文字どおりストーリィにしたかのような、クラスで起きたイジメに纏わる顛末。 何故、言葉に出して止められなかったのか・・・・それは恐かったから、自分に言い訳をしてしまったから。 その結果は、自分たちだけでなく、大勢の親や同級生たちまで傷つけ、悲しませてしまった・・・・。 そして教師は? 子どもたちをちゃんと見ていてくれたのか、見て見ぬふりをしてはいなかったか? 連は清也と仲良し。しかし、5人グループのリーダー格であった颯斗の様子が、最近おかしい。 清也に対してやたら嫌がらせを繰り返していると思えば、今日はついに、清也のランドセルに金魚の餌を注ぎ込む、という悪質なことをやってしまう。 その結果、親、教師たちも巻き込んだ大騒ぎとなる一方、自分たちの関係までおかしくなってしまい・・・。 誰かが声をあげていれば、やった方は罪を犯さずに済み、やられた方は傷つかずに済んだのでは・・・。 そしてまた、周囲の人間も共犯者にならずに済んだのでは。 どうしたら良かったのか、どうしたいいのか。 皆で考えてこそ、解決できる問題なのかもしれません。 本ストーリィでは、多くの人が登場します。 イジメとは、決して当事者だけの問題ではなく、たとえ教室の中のことであろうと、一つの社会における大きな問題なのだろうと思います。 そう教えてくれる一冊。大人の方にも、是非お薦めです。 1.オレ SIDE−久保塚連/2.ぼく SIDE−三橋清也/3.オレ SID−久保塚連/4.ぼく SIDE−三橋清也/5.先生 SIDE−原島夏帆/6.オレ SIDE−久保塚連/7.もう一人のオレ SIDE−関颯斗/8.オレ SIDE−久保塚連/9.先生 SIDE−原島夏帆/10.ぼく SIDE−三橋清也/11.もう一人のオレ SIDE−関颯斗/12.オレ SIDE−久保塚連/13.ぼく SIDE−三橋清也/14.オレ SIDE−久保塚連 |