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「名探偵のままでいて Stay being The great private detective」 ★☆ |
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ちょうど借りる機会があったので、このミス大賞受賞作ということもあって、一応読んでみようかと手を出した次第です。 主人公は、小学校教師をしている楓(27歳)。 その楓、自分の周辺で不可解な出来事が起きる度にその謎解き(日常ミステリ)を頼る相手というのが、元校長でミステリに造詣が深い楓の祖父。 しかし、その祖父、実は“レビー小体型認知症”で、良い状態と悪い状態が波のように変化し、幻視もあるという状況。 <安楽椅子探偵>はもはや珍しくもありませんが、<安楽椅子+認知症探偵>という設定は珍しい。 ただ、ミステリ作品としてはもう一歩。 発生した事件についての説明が短い割に、祖父の説明の方がそれより長いといった傾向あり。 そして手がかりが少ない割に、想像部分も含めて祖父の謎解きが不自然に見事過ぎ、解決ありきの事件、謎になっている、という印象です。 それでも「まぼろしの女」「ストーカーの謎」という最後の2章は、楓とその身近な人物が思わぬ危機に直面するという事件であるだけに、ミステリというより、スリリングという点で面白かったです。 ※祖父だけでなく楓もミステリ好きということで、ディクスン・カー、エラリー・クイーン等々、ミステリ名作が数多く会話に登場するあたり、北村薫さんを思い出しました。その中で私が読んだ作品、思い出せる作品は残念ながらごく僅か。 1.緋色の脳細胞/2.居酒屋の"密室"/3.プールの"人間消失"/4.33人いる!/5.まぼろしの女/終章.ストーカーの謎(リドル) |