北林雨夏
(うか)作品のページ


脚本家、構成作家、小説家。別の筆名にてサスペンスドラマや連続ドラマの脚本や情報番組の企画構成、小説、コミック原作等幅広く活躍。2012年「金色の笑顔」にて第1回「ありがとう大賞」大賞を受賞。

 


           

「金色の笑顔 ★★        ありがとう大賞


金色の笑顔画像

2013年03月
PHP研究所刊
(952円+税)

    

2013/08/06

   

amazon.co.jp

“心からの感謝の気持ち=arigato”をテーマに書かれた小説作品を対象とした“ありがとう大賞”第一回大賞受賞作。 

主人公は高校2年生の安藤小麦(こむぎ)。両親の離婚により松本から茨城県の母の実家に引っ越し。ところが転校した先の高校に馴染めず、不登校がち。
そんな小麦を温かく見守ってくれるのは、小麦が野菜作りの天才だと思っている
おじいちゃん
ところがその大事な祖父が肺がんで余命3ヵ月と宣告され、小麦にはショック。祖父からのたっての頼みということで、小麦は祖父に託された大きな絵を山梨の
白石みちるさんという人へ届けに行くことになります。

不登校児だからといって、学校で同級生とうまくやれないからといって、人と繋がりを持てないということではない、という作者のメッセージが強く心に届きます。
そして人と人とを温かく繋ぐ大切な言葉が「ありがとう」という素直に感謝の気持ちを表す一言。
とくに本書では、祖父から小麦に贈った言葉が、小麦をこれからに向けて力づけます。ちょっとした感動あり。

また本書で無視できないのは、終末医療の問題。
死を受け入れることは決して敗北ではない、最後まで自分らしく人生を生き抜くことこそが大事という言葉には心洗われる気持ちがします。
小品ですが、私好みの作品です。

                 


   

to Top Page     to 国内作家 Index