木下半太
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1974年大阪府生。映画専門学校中退後、脚本家、俳優として活動。劇団「渋谷ニコルソンズ」主宰。2006年「悪夢のエレベーター」にて作家デビュー。

  


     

「恋する音川家 


恋する音川家

2015年05月
文芸春秋刊

(1400円+税)

 


2015/06/13

 


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神奈川県は桜木町界隈が舞台。
世界的な建築家で今もダンディーとして有名な祖父の
音川登が、何と22歳の女子大生をストーカーして警察に逮捕されるというニュースが音川家に飛び込んできて、家族を驚かせます。
当事者の登はどうも認知症を発症したらしく、自分は22歳と信じて疑わない。
やがてその登に触発されたのかされなかったのか、新作が書けない小説家の父=
正嗣、専業主婦の母=多香子、大学中退してニートの長男=慎之助、女子大音楽部へ進学決定済の長女=綾香それぞれが、思い思いの恋へと暴走し始めるという、ドタバタコメディ的ストーリィ。

それぞれに恋愛ドラマあり、各人の恋愛ドラマから感じるところも多々あり、慎之助の周辺人物として登場する
浦島いろはへ稀に見る魅力を感じたりもしますが、要は最初から最後までドタバタコメディと言うに尽きます。
そもそも恋自体がドタバタコメディと言ってしまえば、そのとおりなのかもしれませんが。

それでも最後、ストーリィを統括する如き綾香によるMCには、すっきりした気分にさせられた思いです。


1.溺れる音川家/2.戦う音川家/3.壊れる音川家/4.奏でる音川家

 


  

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