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1.探偵は教室にいない 2.探偵は友人ではない |
1. | |
「探偵は教室にいない」 ★★ 鮎川哲也賞 |
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2021年09月
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中学のバスケ部、仲の良い4人+変人という顔ぶれが繰り広げる青春ミステリ。 いやあ、学園もの青春ストーリィの佳作として、遜色のない出来栄えです。久しぶりに堪能しました。 主な登場人物は、海砂真史(ウミ)と栗山英奈(エナ)、田口総士と岩瀬京介という男女各2人に、ウミの幼馴染で中学進学後3回しか登校していないという変人の鳥飼歩が安楽椅子型の探偵役として加わります。 本作の魅力はまず、この4人+αにあります。それぞれが個性的で、中学青春に相応しい初々しさを備えています。何よりもその点に好感。 そして、ミステリとしてのタイプは<日常ミステリ>型。 率直にいってどれも、それ程の謎とはいえない些細なものばかりですが、彼らにとってはとても重要な問題。何故なら皆それは、大切な友人に絡むことだからです。 5人とそれらミステリの距離感が絶妙で、彼らの中学生活にぴったり寄り添っているという風。 彼らがどれだけ友情を大切にしているかがくっきりと浮かび上がってくるようで、読後感は実に気持ち好い。 新たな青春ミステリの書き手として、今後に期待大です。 ・「Love letter from・・・」:ウミに差出人不明のラブレターが。差出人は一体誰なのか・・・。 ・「ピアニストは蚊帳の外」:校内合唱コンクールの練習時に、京介が指揮者役男子と喧嘩。その後、京介が放った不穏な言葉の意味は・・・。 ・「バースディ」:4人で海へ出かけた後、総士が彼女とのデートをキャンセルする等不審な行動・・・。その理由は? ・「家出少女」:父親と喧嘩して家出したウミから、帰れなくなったとエミに連絡があった途中、バッテリー切れ。3人+歩が集まり、ウミの居場所を皆で推理。 受賞の言葉/ 第一話の前に/第一話 Love letter from.../第二話 ピアニストは蚊帳の外/第三話 バースデイ/第四話 家出少女 /第28回鮎川哲也賞選考経過/選評:加納朋子・北村薫・辻真先 |
2. | |
「探偵は友人ではない」 ★☆ |
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2022年09月
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中二生たちを主人公に、その日常ミステリを描く青春ミステリ「探偵は教室にいない」シリーズ第2弾。 バスケ部で仲の良い男女4人組+不登校の変人一人、という顔ぶれは前作どおりですが、探偵役である鳥飼歩にリアルな存在感が乏しい印象を受けたのが残念なところ。 しかし、最後の「for you」 で取り戻された観があり、まずは納得して読了できました。 海砂真史にとって幼馴染の鳥飼歩は、単なる謎解き役の探偵か、それとも友人なのか、というのが本書題名の所以。 彼らの関係がワンステップ前進した感じ。そのため、次作も楽しみになりました。 ・「ロール・プレイ」:真史が好感を抱く若い英語教師の水野梨花、大学生時代には演劇をやっていたという。 その水野梨花が、バスケ部2年先輩の鹿取一樹と鳥飼歩という、学習塾で仲の良かった2人が疎遠になる原因になっていたとは。2人の間に何があったのか・・・。 ・「正解にはほど遠い」:鹿取一樹の妹である彩香(中一)、兄と歩が仲直りできたのは真史のおかげ、真史のファンになりましたと纏わりついてくるようになったのはだましも、<お菓子の家>を餌に真史へ幾つもクイズを出してきます。狙いは何? ・「作者不詳」:定年間近の美術教師である柳先生、美術室・美術準備室をめぐって不審な行動・・・その理由は? ・「for you」 :仙台の祖父母の元に真史が帰省していた頃、歩はサンフランシスコに滞在。謎解きのため帰りの日を合わせ新千歳空港で落ち合ったのですが、真史、ふと歩の行動に不審感が生まれ・・・。 1.ロール・プレイ/2.正解にはほど遠い/3.作者不詳/4.for you |