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1.カンバセイション・ピース 2.ハレルヤ |
「カンバセイション・ピース」 ★★ |
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2006年04月 2015年12月
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何ということもない日常、日常会話が続くストーリィです。 子供の頃住んだ家だけに、主人公は度々過去を思い巡らせ、過去と現在がシンクロするように語られていきます。以前いた飼い猫と現在の飼い猫との類似、度々観に行くプロ野球の試合。短期的には日常生活が進行しているものの、俯瞰的に見れば同じことの繰り返し。日常生活が普遍化されていくような感覚に充たされます。 |
2. | |
「ハレルヤ」 ★★ |
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2022年05月
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エッセイかな、とも思える4篇を収録した一冊。 表題作「ハレルヤ」は、猫好きな主人公夫婦が、捨てられていた?生まれて2週間ばかりの仔猫(しかも片目)を助け、飼い猫として18年余を一緒に過ごした“花ちゃん”との最後の日々を描いた篇。 「十三夜のコインランドリー」は、子供の頃に出会い、助けようとしたがそのまま逃げ去った猫との思い出を描く篇。 そして「こことよそ」は、友人の死、葬儀に関係して、若い頃の日々をいろいろと回想した、川端康成賞受賞作。 「生きる歓び」は、再び花ちゃんとのこと。夫婦との出会い、迷いながらも結局花ちゃんを助けて家に連れ帰り、大事な家族となっていた日々の思い出が語られます。 本書についての感想は、花ちゃんのことに尽きます。 ウィルス感染して両目とも開いていない、生き延びるかもわからないような仔猫。腹部に腫瘍ができ余命僅かと宣告された花ちゃん。 これが人間だったら、さぞ大事になっていたことでしょう。懸命な措置を取らずにいたら非難轟々、とか。 その辺り、決して見放している訳ではないのですが、出来ることをすればいいと淡々と接している気がします。 花ちゃんと夫婦、飼い主とペットという関係ではなく、対等な関係。 お互いに信頼し合える愛情がそこにる、という気がするなぁ。 ハレルヤ/十三夜のコインランドリー/こことよそ/生きる歓び/あとがき |