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2.プロトコル 6.バタフライ |
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●「忘れないと誓ったぼくがいた」● ★☆ |
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2008年08月
2006/06/22
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高校最後の夏休み、メガネショップで出会った店員の織部あずさに主人公の葉山タカシは胸をときめかせます。 恋がずっと続くものではないとすれば、人は終わった恋を忘れようとするのか、それとも決して忘れまいと思うのか。 恋が終わった後に続く思いを謳い上げたラブ・ストーリィ。残った思いはより一層鮮やかです。 |
2. | |
●「プロトコル PROTOCOL」● ★☆ |
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2010年10月
2010/11/24
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題名からはどんなストーリィか皆目判りませんが、本書は生真面目過ぎるOL=有村ちさとを主人公とする、ごく普通の若いOL版お仕事小説+α。 有村ちさとは、大手通販会社ヴィヴァンに勤める26歳。 この有村ちさとのキャラクター、私は好きだなぁ。 |
3. | |
●「有村ちさとによると世界は」● ★☆ The World According to Chisat Arimura |
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2010/11/28
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「プロトコル」の有村ちさと、第2弾。 「青い草の国へ」はちさとの父=騏一郎が主人公。ブラントン将軍を道連れにしての米国放浪が終わりに近づきつつある時期の父親の様子が描かれます。 最後の「前世で逢えたら」は、前作後のちさと自身の物語。 有村ちさとへ好意を抱いてこそ楽しい、味のある短篇集。 青い草の国へ/オズのおまわりさん/おんれいの復讐/前世で逢えたら |
4. | |
●「僕の心の埋まらない空洞」● ★★ | |
2012/10/09
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不倫相手の同僚女性をストーカーの末に殺害した容疑で逮捕された会社員の鳥越昇。一方、彼を取り調べる担当検事の荒城倫高。 そのことをじっくり考える間もなく、本書を読んでいる内にこちらまで不安でいたたまれないような心持ちにさせられてしまうところが、本作品の異色さ。 読者まで恐れ慄かせてしまう心理サスペンス。 |
5. | |
「悪魔と私の微妙な関係」 ★★ | |
2013/07/12
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大人しくて目立たず、中学生に間違えられることもあるという小柄なOL、真崎皓乃27歳。でもその内面は、外見に似合わず毒舌家。さらに驚くことは、彼女の副業があの悪魔祓い、エクソシストであるということ。 荒唐無稽、でもユーモラス。 昔、映画で話題になった“エクソシスト”。今更こんな形で物語世界に復活するとは思いませんでした。 山羊たちの沈黙/職場のエクソシスト/教授の異常な愛情/夕暮れの告白/第三の魔物(前編)/第三の魔物(後編)/エピローグ |
6. | |
「バタフライ Butterfly」 ★☆ |
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小さな出来事が連鎖して様々な状況を変えることがある。本書はそんなストーリィのひとつ。 小さなことが連鎖していく中でどんどん大事になっていき、やがて大勢による大騒ぎとなる、というストーリィは結構あって、恩田陸「ドミノ」などはその代表例。 本ストーリィはそうした大事になるというまでのことはありませんが、それぞれ悩みを抱えていた登場人物たちがちょっとした出来事の連鎖から結果的に救いを手に入れるという展開が、本作品の趣向です。 身体を執拗に狙ってくる義父の存在に苦しんでいる中学生の尾岸七海と、不登校でヒキコモリの中学生=山添択は、幾人もの登場人物の中でも成功例と言えるほど救われた例でしょう。 零細工務店の弱気社長である設楽伸之はほんのちょっと、ネットカフェ暮らの永淵亨は寝食の苦労がなくなったからと言って喜んでやっていいのかどうか。(苦笑) なお、本書を読んでいて気づくのは、細部にいろいろな面白さが施されていること。 警察署内で七海が取った行動にはさぞ刑事も仰天したことだろうと思いますし、島薗老人に触発された自転車の主婦の行動も笑えます。その主婦の行動の結果であるかどうかは別として、尾岸雅哉の余りにも周囲が見えていない愚かさぶりには、笑ってしまいます。 また、山添択と元同級生のやりとりも愉快ですし、最後の黒沢歩果たちの盛り上がりには思わず同調したくなるというもの。 暗い雰囲気から始まるストーリィですが、本書は気楽に読むのが一番。最後は登場人物と一緒に爆笑して、気持良く本書を読み終われます。 |