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2.桃尻語枕草子 5.巡礼 6.初夏の色 7.結婚 9.草薙の剣 10.黄金夜界 |
●「桃尻娘」● ★★☆ 講談社小説現代新人賞佳作 |
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1983年05月 1981年09月
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面白い! 破天荒な青春物語と言うべきでしょうか。けれども、単なるユーモア作品ではなく、実態を鋭く突いているように感じます。 ・桃尻娘・・・・・・・1年C組 榊原玲奈 |
●「桃尻語 枕草子(上中下)」● ★★☆ |
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1998年04月
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本書は、あの清少納言「枕草子」を、橋本さんが現代語、それも“桃尻語”に訳したという作品。 |
●「「三島由紀夫」とはなにものだったのか」● ★☆ 小林秀雄賞 |
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2005年11月
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三島由紀夫についてこれほど見事に解析してみせた本は、これまでなかった、のではないでしょうか。 三島は天才児の小説家と評され、実際その作品には判り難いところが多くあった。しかし、それこそ三島の天才児たる所以であって、その難解さを信奉して読んでいた、ということだったと思うのです。今、その頃と同じように三島を読めるかと言えば、とてもそうはいかない、それははっきりしています。 本書では、三島の代表作である「仮面の告白」「金閣寺」「豊饒の海」「サド侯爵夫人」等を題材にして、三島を解析していきます。 序/第1章 「豊饒の海」論/第2章 同性愛を書かない作家/第3章 「女」という方法/終章 「男」という彷徨/補遺 三島劇のヒロイン達 |
●「いま私たちが考えるべきこと」● ★ |
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2007年03月
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新潮社が最近創刊した雑誌「考える人」に連載したものの単行本化。 橋本さんは「人間には2種類がある」と言う。それは、「自分のことを考えろと言われるとまず“自分のこと”を考える人」と、「まず“他人のこと”を考える人」の2種類である。 「他人」という基準、「自分」という基準/孤独から生まれる恋愛/私が「社会」を考えても、「社会」は私を考えてくれない/うっかりすると間違えそうな考え方/近代と、前近代と/「私たち」というのりしろ/へんな土壌からはへんな木しか生えない/「国家」がピンとこなくなった時代/「私たち」を考える/「他人」はどこら辺に、どのようにしているのか?/「個性」とは哀しいものである/「答えがない」という新しさ |
●「巡 礼」● ★★ |
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2012年02月
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家の中にも家の外にもゴミを溜め込み、TVのワイドショーで有名なゴミ屋敷として取り上げられるまでに至った家に一人住む、老いた男性。 本作品は「ゴミ屋敷」「家族」「巡礼」という3章構成。 同時に「家族」は、めざましく社会が変化し経済的に発展していった時代を描く章でもあります。 最後、長年疎遠になっていた弟に誘われ巡礼に旅立った主人公が、ほんの僅かな間であっても笑顔を見せたことに、ほっとする気持ちがします。 |
「初夏(はつなつ)の色」 ★★ |
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青春小説風の題名ですが、3.11東日本大震災後の、ごく普通の日本人の姿を描いた短編集(雑誌掲載5篇+書下し1篇)。 その当日およびその直後暫くの間こそ、震災のショックは大きく、いろいろ不自由なことも生じましたが、一旦落ち着いてしまうと、直接的被害を受けた方たちを除き、それ以前のごくフツーの生活が戻ってきたのも事実。 助けて/渦巻/父/枝豆/海と陸(おか)/団欒 |
「結 婚」 ★★ |
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2019年07月
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主人公の倫子は28歳、旅行会社勤務。 要は若い女性が結婚問題に向かい合うストーリィなのですが、そこは橋本治さんらしく、単なる結婚物語にはなりません。 まぁ昔なら結婚するのが当たり前、そうしないと生きていくのが大変という基本事情があったからでしょう。 主人公である倫子のキャラ、かなり冷めた性格設定になっています。でも共感を抱くところ大です。 さて主人公の倫子、最後に目的は達成できるのか?が興味どころですが、その結末たるや、これまた痛快です。 |
8. | |
「百人一首がよくわかる」 ★★ |
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高校時代、どうも古文とか漢文とかは苦手で、子供の頃に百人一首で歌留多取りした以外は余り関わろうとしてこなかったのですが、橋本治さんによる現代語訳となれば「桃尻語枕草子」の面白さが蘇ってすぐ手に取りたくなります。 とかく古典=文学とされてしまうから縁遠くなってしまう(言い訳がましい)のですが、橋本治流現代語訳で読むと、何だこんなもんだったのかと、ぐっと身近に感じられます。 見開きの右側に原文と現代語訳が並べて表記され、較べながら味わえます。また左側に橋本さんの解説付き。そんな構成が各歌に親しみ易い。 もっともらしく歌にしているけれど大したことを言っている訳ではないなぁと思いつつ、どんどん読み進んでいくと、そんな単純な言葉の羅列の中にも結構意味深な想いや、ダジャレや揶揄、言葉遊びが入り込んでいるのが分ってきて楽しい。 第一段階としてまず現代語訳で内容を知る、第二段階として次第に詠み人の想いや面白さが分ってくる、というのが本書の楽しさでした。 また、橋本さんによる詠み人の人物紹介は、日本の歴史に少々触れるとことがあって、これまた面白い。 これらを一気に授業の中で講釈されたって、気持ちが付いていく訳がなかったよなぁと思う次第(更なる言い訳かも)。 ※百人一首ならず読書にしたって文学とか言われるから近づきにくくなる訳であって、文字形式のエンターテインメントと言ってくれればずっと手に取りやすくなる、というものです。 |
9. | |
「草薙の剣」 ★★ 野間文芸賞 |
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2021年02月
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62歳から12歳まで、10歳ずつ歳の違う6人の男たちを主人公に、その祖父母や両親から始めて、戦前〜戦後〜昭和〜平成という時代を描き出した長編。 橋本治さん作家デビュー40周年の記念となる作品とのこと。 単に近代日本の歴史をなぞるストーリィではありません。あくまで人を基本軸に、主人公個人だけでなく家族も含めて描いたストーリィなのですから。 だからこそ、それらの時代が目の前に蘇ってくるようなリアル感が、そこにはあります。 私は昭和30年生まれ。昭和〜平成という時代は、まさに私が小中高と成長し、就職した後は働きバチとなり、そしてバブルもその崩壊も味わった時代。 あぁそんな時代だったよなと、我が半生を振り返る気分にもなります。 何が一番変わったかと言うと、勿論家電等々が目覚ましく変わったのは事実ですが、結婚や仕事という面での変化が一番大きいのではないか、と感じます。 昔は、結婚や仕事もごく身近なところで、とりあえずこの辺で、という感じで決められていたのではなかったか。今は生きる世界が広くなったという面もあって、かえって決めるのが難しくなってきているように感じます。 2人で助け合って生きなければ生きにくかった社会が、そうではなくなってきたからでしょうか。 いずれにせよ、いろいろな思いがこみ上げて来る作品。 ただ、終盤で語られる印象的な出来事が、酷薄な殺人事件ばかりというのは哀しい。 1.息子達/2.終わってしまった時代/3.始まらない時代/4.よどみ/5.草薙の剣 |
10. | |
「黄金夜界」 ★★ |
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2022年08月
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尾崎紅葉「金色夜叉」の、橋本治さんらしい現代版。 主人公の間貫一、両親の死去後、父親の友人だった鴫沢隆三の下に引き取られます。その隆三の娘が、2歳年下の美也。 中学生の美也から迫る形で恋人に、そして許婚者という関係に。 しかし、学生モデルMIAとなった美也は、IT事業の成功者である富山唯継から求婚されるや、貫一をあっさり捨てて富山の結婚を応諾してしまう。 その結果、鴫沢家に居場所を失くした貫一は、鴫沢家から出るやいなやホームレス、日雇い労働から始まり、ブラック企業として知られる居酒屋でバイト〜正社員を踏み台にして、新たな外食事業を起業するというチャンスを掴む。それから・・・・、というストーリィ展開。 尾崎紅葉の原作を読んでいないので両作品を比較することはできませんが、「金色夜叉」が<金と人間の欲望>を題材にした作品だったとすれば、本作は<生きる目標>を題材にしているのではないかと思います。 美也は、何も考えず、ただ注目されたい、人から一目置かれたいと想っているだけの女性と思えます。それが富山の求婚をあっさり応諾した動機。 一方、貫一は居場所、生きる手段を失ったことの反動として、鬼のように働き、生活の安定を得たいと思う。 美也、貫一ともそこには、どう生きたいとか、どうすれば幸せになれるか、といったビジョンはまるで感じられません。 そして、それこそ現代社会における本質的な問題点ではないか、と思う次第。 貫一や金貸しの赤樫満枝と対照的に、たとえブラック企業とはいえ<狐の居酒屋>社長である鰐淵直道の方が、目標・欲望のその先をきちんとわきまえている分、ずっと人間臭く感じられます。 摩天楼/許婚者/富山唯継/熱海の黄昏/別離/変貌/黒い会社/脱出/時の階段/知らない人達/四年後/赤樫満枝/女二人/思いのもつれ/仮面舞踏会/再会/錐/空の鳥籠/黄金夜界 |