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築地の門出、料理人の光、星をつける女、踊れぬ天使、穢れ舌、廃墟ラブ、ねじれびと、春とび娘、ヤスの本懐、ラストツアー |
21. | |
「間借り鮨まさよ」 ★★☆ |
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新シリーズ開幕? “ヤッさん”・“佳代のキッチン”の両シリーズが完結し寂しく思っていたところ、本作の登場です。きっと新シリーズになる筈と期待しています。 さらに楽しさがアップした印象。 何故かと考えると、“ヤッさん”の場合は教え諭す、教え導くというパターンでしたが、本作にはそうした(敢えて言うとして)押しつけがましくない。 あくまで主役は各篇の登場人物たちであり、雅代はたまたま傍にいて彼らの悩みや愚痴を聞いてやる、そしてただ励ます、といった感じ。それがとても心地良く感じます。 ですからこの本シリーズ、今後に期待!です。 さてその雅代、外見は丸ぽちゃ顔のおばちゃん。しかし、鮨を握らせたら銀座の高級鮨店にも引けを取らないという鮨職人。 しかし、自分の店は持たず、あちこちの飲食店を短期間だけ間借りして<鮨まさよ>を開くのだという。 ・「バスクの誓い」:椋太と佑衣、夫婦で<バスク料理店>を開店し好評だったものの、コロナ禍で<スペイン食堂>に転換したものの業績は悪化、それに伴い夫婦の喧嘩も増えて、という苦境の真っ最中。そんな時、雅代というおばちゃんが間借りを申し込んできて・・・。 ・「能登栗の声」:金沢にある能登栗を使った洋菓子専門店<マロン亭>、その社長の座を亡父から継承した陽菜、古参の菓子職人は陽菜の言葉に耳を貸さずストレスばかり。そんな時、若い販売部長が東京の飲食会社から提携話を持ち掛けられ・・・。 ・「四方田食堂」:晃成、東京で高級焼肉店を開店して成功したもののコロナ禍で一転、結局自己破産し、実家のある千葉県富津市に戻ってきます。しかし、実家の母親からは貶されてばかり。そんな時、子供の頃から世話になった四方田食堂の経営者夫婦が年を取ったことから、手伝いを頼まれ・・・。 3篇とも再出発、ビジネス再構築ストーリィとして、存分に面白い。 そして雅代、決して出しゃばらず、若い人たちのためにそっと力を貸すといった感じで、その辺りの案配がとても良い。 ちょっと山本甲士“ひかりの魔女”を連想させられます。 今後の続巻がとても楽しみです。 1.バスクの誓い/2.能登栗の声/3.四方田食堂 |
22. | |
「たわごとレジデンス」 ★☆ |
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東京郊外の一等地に建つ、介護付きの高級分譲マンション<レジデンス悠々>が舞台。 一部の住人の身勝手な行動のおかげで、共有施設のスタッフや他の住民らが振り回されるという、人間喜劇(バルザックではない)を描いた連作ストーリィ。 冒頭2篇はドタバタ喜劇という印象でしたが、 3篇目の「奈落のリビング」は、ブラックなサスペンスという類のストーリィ。結末がどちらに転ぶのか全く予想が付かず、原さんにまんまとしてやられた、というスリリングさ。 そして「ミリヤ先生」「アラカンの恋」と、面白さは急上昇。 単にコメディというだけで終わらせず、現実感、サスペンス風味を織り込んだところが、巧い! ・「ディススポμ」:スポーツは悪だ!陰謀だ!と大声で唱えだした元高校教師の清宮幸介。悠々ジムに試用期間として働く千帆は、執拗にまとわりつかれ辟易。 ・「不条理なあなた」:図書室スタッフで、舞台脚本家志望の島森圭太、かつての名監督で現住人の瀬戸崎未菜監督から圭太が書いた脚本を映画化しようと声を掛けられますが、難題に振り回されっぱなし。 ・「奈落のリビング」:脳梗塞で倒れ植物状態と診断された柴山総太郎、しかし意識はしっかりとあり。 元コンパニオンの妻=早紀が勝手に動き始め、恐怖。 ・「ミリヤ先生」:リボーンコンサルタント=吉武ミリヤのおかげで自分に目覚めたという熊谷登紀子に影響され、コンシェルジュの木野内亜耶もリボーンに目覚めてしまうが・・・。 ・「アラカンの恋」:元パイロットで女性住人から人気の高い五十嵐。管理組合理事長に選出されたところ、管理会社を替えると言い出し、暴走をし始める。そのうえ女性差別者の本性まで曝け出し始め・・・。 1.ディススポμ(ミュー/2.不条理なあなた/3.奈落のリビング/4.ミリヤ先生/5.アラカンの恋 |
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