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1.ワタクシハ 2.スクラップ・アンド・ビルド |
1. | |
「ワタクシハ」 ★★ |
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2013年01月
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高校2年の時TVのオーディション番組に応募してギタリスト部門1位となり、組成されたヘビメタバンドでメジャーデビュー、紅白歌合戦にも出場した経歴のあるTAROこと山木太郎。 それにしても異様だなぁ、と思う。 進展も成長もないまま、ただ延々とシューカツ活動が続くといった、まるで体験記の如きリアルな小説。さて、貴方ならどう感じますか。 |
2. | |
「スクラップ・アンド・ビルド」 ★★☆ 芥川賞 |
2018年05月
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カーディラーを中途退職した主人公の健斗は、再就職活動中ながら三流大学卒で何の技能もないとあって苦戦中。 自宅は多摩グランドハイツ、働いている母親と、ディケアサービス等利用中の祖父と同居中。 老いて身体の動きが不自由な祖父に対し、さっさと動けと、母親の言動はかなり手厳しい。 楽に早く死にたいとしきりにボヤく祖父、しかし自分で決行する勇気はないらしい。 さて孝行孫たる健斗、どうしたら祖父の願いを叶えてやることができるのか。まず実行したことといえば、祖父が余り動かずに済むようにし、身体を弱らせること・・・・。 “孝行”の内容が現代ではすっかり変わってしまったのか。 ブラックユーモアのようですが、一方で現実的な思考と言ってしまうと、現代社会の闇を感じる気分にもなります。 母親と健斗、いったいどちらの言動が祖父のためになることなのか。中途半端な気持ちはかえって良からぬ結果を招きかねないという、健斗の友人である大輔の冷静な助言には、胸をグサッと突きさされる気持ちになります。 要は、生きていくにも死んでいくにも自分の思いを達成するためには勇気と行動力が必要、と言うことでしょうか。 現代社会の“老後”、もはや老人も自力で立たなくてはいけないのかと思うと、子も孫も楽ではありませんねぇ・・・・。 |