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21.東京ハイダウェイ 22.最高のウエディングケーキの作り方 |
【作家歴】、快晴フライング、十六夜荘ノート、風の向こうへ駆け抜けろ、痛みの道標、マカン・マラン、花舞う里、フラダン、女王さまの夜食カフェ、蒼のファンファーレ、きまぐれな夜食カフェ |
キネマトグラフィカ、さよならの夜食カフェ、アネモネの姉妹 リコリスの兄弟、鐘を鳴らす子供たち、お誕生会クロニクル、最高のアフタヌーンティーの作り方、星影さやかに、二十一時の渋谷で、百年の子 |
「東京ハイダウェイ Tokyo Hideaway」 ★★ | |
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“Hideaway”とは隠れ家のこと。 仕事先や家庭、学校等々で鬱積を抱える各篇の主人公たち、彼らが救いを見出したのは、街中で見つけた隠れ家。 なお、隠れ家といっても、何も建物であるとは限りません。 そこに居れば、ホッと息をつくことができる、本来の自分でいられる、そんな場所、時間、空間・・・。 誰にでもそんな隠れ家は必要だと思います。私の場合は、ずっと読書。仕事やあれこれでストレスを抱えたときでも、読書ができるのなら自分はまだ大丈夫、と乗り越えてきましたから。 ・「星空のキャッチボール」:電子商取引<パラダイスゲートウェイ>の運営部署で働く矢作桐人、ボスキャラの同期=寺嶋直也と対立。憤懣やるかたない桐人がふと見かけたのは、地味な同僚女子=神林璃子の軽やかな足取り。ついその後を追ってみつけたものは・・・。 ・「森の箱舟」:桐人の上司である米川恵理子(46歳)。管理職とはいえ決定権はなく苦労ばかり、おまけに帰宅すれば小学生の息子のわがままに振り回される。翌朝、つい電車を降りられず、終着駅まで。 ・「タイギシン」:高校生の大森圭太、中学の先輩から執拗にいたぶりを受けている。ある日、大好きなゲームキャラそっくりの女性を見かけ、後を追った圭太が辿り着いた先は・・・。 ・「眺めのよい部屋」:植田久乃、恵理子と大学からの友人。恋愛や結婚に興味がなく独身、今はチェーンカフェ店の店長。自分には何もないと思っている久乃にとって憩いの場所は・・・。 ・「ジェリーフィッシュは抗わない」:映像プロデューサーの瀬名光彦、<パラダイスゲートウェイ>に転職、久乃の店の常連。 気づけばいつも人に流されてばかり。でもそれで良いのか? ・「惑いの星」:神林璃子。自己評価が低く、いつも目立たないように過ごしてきた。しかし、・・・。 星空のキャッチボール/森の箱舟/タイギシン/眺めのよい部屋/ジェリーフィッシュは抗わない/惑いの星 |
「最高のウエディングケーキの作り方」 ★★☆ How to make your own wedding cake the best ever |
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「最高のアフタヌーンティーの作り方」の続編。 本作ストーリーは前作から4年後。遠山涼音と飛鳥井達也、林瑠璃や園田香織ら、それぞれが今抱えている問題について連作風に描かれていきます。 まず4年後の状況はというと、涼音が桜山ホテルを退職、仏修業から帰国した達也と一緒に自分たちのパティスリー店オープン(来年)を目指して準備中。それに合わせて、涼音と達也も結婚する予定。 その涼音、いざ婚姻届に記入しようとして、何故「遠山」姓を「飛鳥井」に改姓しなければならないのか、と疑問を抱きます。 それではまるで自分が達也に従属するようではないか、これまでの自分の存在感はどうなるのか、と。 ストーリー自体は、前作から4年後、主要人物たちの今を描いたものですが、その本質的な中身はというと、選択的夫婦別姓制度や同性婚問題という昨今の社会問題を取り上げたもの。 現在、当事者として悩み苦悶している問題について、年輩男性たちが如何に無理解か、また自分たちに都合の良い考え方を今も女性たちに無理強いしているか、ということがリアルに描かれています。 そう、年配者になるととかく新しい考え方、やり方についていけないものだから、何かと自分たちに都合のよい、古い考え方・やり方を若い人たちに押し付けがちなもの。 時代の変遷によって考え方も変わっていくのは当然のこと、若い人たちが挑戦しようとすることを応援する気持ちを持ってもらいたいものだと思います。 是非、男性たちに考えてもらいたい問題を指摘した一冊。 お薦めです。 1.ピュイダムール/2.エクレール/3.クイニーアマン/4.サマープディング/最終話.最高のウエディングケーキ |
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