団鬼六作品のページ


1931年滋賀県生、関西学院大学法学部卒。57年文藝春秋のオール新人杯に入選し執筆活動入り。「綺譚クラブ」に投稿した「花と蛇」が評判となり、官能小説の第一人者となる。

 


 

●「美少年」●  ★

 

1997年5月
新潮社刊

1999年11月
新潮文庫化
(438円+税)

 

1999/11/10

3短篇+ロマンポルノの女王・谷ナオミの半生を語った「妖花」からなる一冊。
3短篇については、どこまでが事実か見当もつきませんが、団さんの実際に近いようであり、私小説と言って良いかと思います。
団さんというと、SM作家というイメージが強く、本書もそれに類する作品と思いつつ読み進んだのですが、読後の印象はそれらとまるで異なるものでした。官能小説への興味が目的なら、本書を選ぶのは間違いでしょう。
いずれの3篇も、SEXという一面を通り抜けることによって、どれだけ通常と異なる人間性が浮かび上がるのか、という興味を感じさせてくれる作品でした。
その意味で一番面白かったのは「不貞の季節」
美人でインテリの妻を弟子に寝取られた「私」のことなのですが、妻は不貞どころか、信じ難い好色ぶりを露わにし、私に対しても平然とそれを語ってしまう、という話。
表題作の「美少年」は、本当の女性よりはるかに女性的な青年との交際顛末を描いた作品。

不貞の季節/美少年/鹿の園/妖花−あるポルノ女優伝

 


 

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