有間カオル作品のページ


東京都出身、法政大学卒。2009年「太陽のあくび」にて第1回メディアワークス文庫賞を受賞して作家デビュー。

 


           

「気まぐれ食堂−神様がくれた休日(なつやすみ)− ★★


気まぐれ食堂

2016年08月
東京創元社刊
(1400円+税)

2018年05月
創元推理文庫化



2016/10/05



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折角念願の三ッ星レストランで働けるようになったというのに自転車で転倒して手首を骨折。そのため店を退職せざるを得なくなったうえに同棲中の恋人にも逃げられたという、若い女性調理人の方田(ほうだ)実果が本書の主人公。
「これは神様がくれた、ちょっと早い夏休みだ」と気持ちを切り替え、実果は瀬戸内海の小さな島へ出かけ、家庭的な民宿で一ヵ月の休暇を過ごそうとします。
そんな実果はある日、猫に誘われるようにして島の反対側へ迷い込みますが、そこで見つけたのは
「気まぐれ食堂」という看板を出している建物。はて、此処は?
気まぐれ食堂と出会ったことをきっかけに実果は、
安藤祐介という身元不明の青年や島の子供たちと知り合い、それまで以上に島に親しんでいくことになります。

軽く読めるライトノベル的ストーリィですが、実果と子供たちの関わりが深まっていくにつれ、あぁこれは本当に夏休みなんだ、身も心も寛いで思う存分手足を伸ばしていいんだ、と感じられて楽しくなってきます。
挫折した後、次の一歩を新しく踏み出すまでの、休息時間。
そうした休息に何とこの島は相応しく、そして島の子供たちや人々は優しく温かいのでしょうか。

主人公の実果と一緒になって読み手も、島の雰囲気に浸ってのんびりし、心から安らぐことができる一冊。楽しいですよ。

泊る/作る/見る/買う/食べる/遊ぶ

                 


   

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