安野貴博
(あんの)作品のページ


1990年生、東京都出身、東京工業大学卒。ソフトウェアエンジニア。2019年「コンティニュアス・インテグレーション」にて第6回日経星新一賞一般部門優秀賞(JBCCホールディングス賞)受賞。21年「サーキット・スイッチャー」にて第9回ハヤカワSFコンテスト優秀賞を受賞し作家デビュー。

  


       

「サーキット・スイッチャー Circuit Switcher ★★   


サーキット・スイッチャー

2022年01月
早川書房

(1700円+税)



2022/04/21



amazon.co.jp

完全自動運転車が普及した2029年の日本を舞台にしたSFサスペンス。

完全自動運転のアルゴリズムを開発し、スタートアップ企業であるたサイモン・テクノロジーズ社を創業した
坂本義晴社長が、自ら乗る完全自動運転車ごとカージャックされます。
「ムカッラフ」と名乗る正体不明の犯人の目的は何なのか。何を坂本に吐き出させようとしているのか。

一方、カージャックにより坂本社長が拘束されたと判明し色めき立つ警視庁の捜査陣。
しかし、犯人から余計な車両が近づけば犯人と坂本社長が乗る車を爆発させると脅され、手も足も出ず。
そうした中、完全自動運転車にはねられて車椅子生活者となった
安藤太一警部補、動画共有サイト“MeTube”を展開する世界的IT企業=Googum社の日本地域ナンバー2である岸田マリが、事態を抉じ開けるため奮闘し始めます。
しかし、既に事態は犯人が設計したプログラムの手中にあり、犯人すらもうプログラムを変更することはできない・・・。

ストーリィを動かしている人物が、犯人、坂本社長、岸田、安藤警部補の4人に限定されてしまっている処はちょっと物足りなく感じるところですが、テンポがよく、上記4人のいずれにも読者が親密感を持てる内容になっているところが好感。
じゃ、悪いのは一体誰だ?ということになるのですが、そこのところは本作を読んでのお楽しみです。

近未来SFといっても、すぐそこにある未来が話。
完全自動運転をテーマにした着眼点が良く、おかげで完全自動運転が招くいろいろな問題を知ることができました。

           


  

to Top Page     to 国内作家 Index