日時:10月24日(土) 14:00〜
場所:亜細亜大学総合研究棟2階第8会議室
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※会場がこれまでと異なっていますので、ご注意ください。
発表者:美麗 和子氏(東京女子大学大学院・博士後期課程)
発表題目
民族政策の語りと記録:建国初期のケ小平の一談話を中心に
要旨
中華人民共和国成立以降、中国共産党中央が発出した重要文書、および中央指導者の重要な談話は、
中共中央文献研究室などの編集により『建国以来重要文件選編』(以下『選編』)、『中共中央文件選集』
などにまとめられ、刊行されている。これらの文献には、当初の原稿から改訂がなされた上で収録された
資料がある。ケ小平「関於西南少数民族問題」は、その一例である。
1950年7月、西南局第一書記、西南軍政委員会副主席の職にあったケは、北京から新政権の宣伝活動と
現地調査を主な任務として派遣された中央民族訪問団を重慶で迎え、その歓迎大会の席上で「関於西南少数
民族問題報告」と題する談話を発表した。この談話は、新中国の民族政策に関する重要発言として、翌
1951年10月発行の内部資料『民族問題文件彙編(三)』(以下『彙編(三)』)に収録された。1989年、
同談話は『ケ小平文選(一九三八―一九六五)』に内容の削除・改変、および改題の上収録され、この改訂
版が1992年発行の『選編』に再収録される。
発表者は、先述の中央民族訪問団に関する研究を行う中でこうした「語り」と「記録」の差異が存在
する状況を知った。本発表では、この差異が共産党政権の民族政策においてどのような意味を持つのか、
検討を試みたい。
本発表では、主に3つの視点からこのケ小平談話を検討する。第一に、談話録音の文字起こし原稿と
される『彙編(三)』版と、後年編集を経て収録された『選編』版との内容比較を行い、当該談話の編集
の方向性を考察する。第二に、同時期の民族政策に関する他の指導者の談話を参照し、ケの談話との共通
点や相違点を検討しながら、建国初期の民族政策の形成・拡散過程を考察する。第三に、この語りと記録
との差異を革命以降の政治体制や現代史の時間軸に置き、その意味を考えてみたい。
※当日は資料・お茶代として200円いただきます。
(例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。)