リニア−彗星 1999S4

 
 この彗星は、1999年9月に発見されました。そのときの明るさは、約17等星。大変暗くごくありふれた彗星であると恩われていました。しかし、観測が進むにつれ、彗星の軌道がはっきりとわかり始め、2000年夏には肉眼で見える彗星になることがわかりました。ただ、これから半年以上も先のことですので、はっきりとした予想とはいきませんが、現在の明るさのまま変化していくと、次のようになっていきます。
  年初めはまだまだ暗く、一般の望遠鏡では見えませんでした。春先になると見かけ上太陽に接近し見えなくなりました。そして、5月の入ると明け方の星空に見えたのですが、予想より暗めでした。下旬になると約11等の明るさで観測された所もあります。6月になるともう少し明るくなり、8等台の明るさとなりました。
  さて、7月は、リニア彗星の太陽接近の月です。画像下のように、尾が伸び始め、中旬まで明け方の空にありました。明るさは6等台になったようです。そして、地球再接近の時は、夕方の空に移りました。しかし、このころから明るさが低下し始め、7/26の画像では中心部分が暗くなり始めてきました。その後、画像を得ることができませんでしたが、彗星の核が崩壊し始め、8月になると急送に暗くなり、見えなくなっていきました。

2000年7月26日のリニア彗星

20時40分〜44分までの4分露出  200mmF4 フジG-800ACE
中央部をトリミング  北条市 高縄山で撮影


この画像は、200ミリレンズの画像です。黄色の文字は、恒星の明るさで、このデ-タ-から見ると7等台の明るさのようです。ただ透明度があまりよくなく、双眼鏡で見た場合には尾は見えませんでした。

太陽に最も近づいた状態ですが明るさは、少し落ちているようです。
2000年7月21日のリニア彗星

20時37分〜52分までの間に、40秒露出を8コマ合成
7.5cm屈折(ペンタ75SDHF)+Lv20mm+QV-3000EX、コリメ-ト撮影
フルサイズで撮影し中央部をトリミング
伊予郡双海町で撮影


 いよいよ夕方の空へとリニア彗星が移ってきました。やはり低空のため詳しい様子がつかみにくいのですが、7/6と比べるとかなり明るくなっているようです。
 7/6は20cm反射、21は7.5cm屈折で、拡大率は7/6が3倍くらい大きいことを考えてみると、2週間ほどでかなり変化している様子がよく分かるでしょう。
 撮影地は、標高が100mほどで、海岸に近いため低空が比較的明るく、肉眼では全く見えませんでした。ただ、透明度は良かったので、明るさは6等以下のような感じでした。しかし、7.5cmx25倍で見ると尾がはっきりと分かり、彗星らしい姿を見せてくれていました。
 ところで、背景の星が点状に並んでいます。これは彗星が天球上を移動しているためです。デジカメの露出は連続で撮影できないのでこのようになってしまうのです。
2000年7月6日のリニア彗星

1時44分〜59分までの間に、60秒露出を6コマ合成
20cm反射(R200SS)+Lv15mm+QV-3000EX、コリメ-ト撮影
フルサイズで撮影し中央部をトリミング
松山市エリエ−ルゴルフ場で撮影


 この日は、透明度が悪くまた低空のため、20cmの反射で細長く延びているのが分かりましたが、詳しい明るさはよく分かりませんでした。
 画像で見ると、中心の彗星から右へのびる尾が分かります。まわりの星が線上にのびているのは、彗星の動きに合わせて、6コマ合成したためです。15分ほどでこんな動いています。

 ところで、デジタルカメラで初めて彗星を撮ったものです。冷却CCDほどは写りませんが、とりあえず尾まで捕らえることができました。
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