2003年お年玉コラム


温泉の切手 byクマオ


記念切手はいろいろな題材が用いられていて、郵趣家を楽しませている。そこでちょっと温泉に関する切手はあるのかと調べてみた。

温泉に関する切手は思いのほか少ない。今手に入る温泉の切手は2種ある。「道後温泉」と「お猿の温泉」だ。今では手に入らないが昭和26年に箱根温泉を題材にする切手が2種あった。それでは切手になった温泉を紹介しよう。

道後温泉

四国郵政局が発行した「ふるさと切手」のひとつ。四国の郵便局で販売されている。平成元(1989)年6月に62円切手として一度発行されている。その後人気があったので平成11(1999)年2月に80円切手としてリバイバルしたもの。題材は道後温泉のシンボル道後温泉本館だ。

道後温泉は、白浜温泉と有馬温泉並び日本のもっとも古い温泉のひとつだ。「風土記」、「日本書紀」に記述され、聖徳太子も入湯したとの記録がある。道後温泉本館は明治27(1894)年に道後温泉本館を建替え、現在の姿にした。

現在の道後温泉の発展は建替えを指揮した伊佐庭如矢町長による観光開発の努力が大きな影響を与えたといわれている。 建替えられた道後温泉本館はお城のような巨大な建物で、平成6(1994)年に近代和風建築として国の重要文化財に指定されている。

道後温泉本館は重要文化財ではあるが、観光客も気軽に利用できる。利用料は大変安く、神の湯二階席が620円(浴衣、2階休憩所でお茶・せんべいつき)、神の湯階下が300円(休憩なし)だ。松山に行った際はぜひ寄ってもらいたい。


お猿の温泉(地獄谷温泉)

信越郵政局が発行した「ふるさと切手」のひとつ。長野県、新潟県の郵便局で販売されている。平成元(1989)年6月に62円切手として一度発行されている。その後平成11(1999)年2月に80円切手としてリバイバルしたもの。題材は長野県の地獄谷温泉に入る野生のサル、原画は柳沢京子さんの切絵。

「お猿の温泉 」切手はかわいらしい絵柄で人気がある。長野県の山ノ内町にある地獄谷野猿公苑にくる野生のニホンザルは温泉に浸かることで有名だ。野猿公苑はサルの科学的な研究拠点で、温泉に入るサルはこの研究で世界的にも有名だ。

野猿公園は長野県の上林温泉から30分ほど歩いて山側にある。 公園にはお猿用の露天風呂があって、入浴風景画見られる。公園から横湯川を隔てた地獄谷温泉 後楽館でもお猿と混浴ができる露天風呂がある。

今の季節は雪の中でお湯に浸かるお猿が見られる。長野の渋温泉に行ったら、一足伸ばしてお猿の温泉を見に行くとよいだろう。


箱根温泉(大湧谷)

郵政省が発行した「観光地百選」シリーズのひとつ。昭和26(1951)年5月に8円切手として発行された。題材は神奈川県の箱根温泉の大湧谷の噴気。

「観光地百選」シリーズは日本の代表的な観光地を紹介するシリーズだ。「観光地百選」は日本各地の観光を奨励するために昭和25年に毎日新聞社が主宰して、観光地の10部門(山岳・平原・都邑など)上位10位をハガキによるアンケート投票で選んだものだ。

郵政省は各部門の1位を切手にした。都邑部門の1位が箱根温泉だった。毎日新聞はアンケート投票の中間結果を紙面で逐次掲載したので、各観光地は競ってハガキ投票をして7千万通もの応募があって、郵政省は大喜びしたという。

切手の図案の大湧谷は、膨大な噴気が出ている。この噴気は現在では地下水と混ぜて温泉として利用されている。この噴気造成泉は仙石原温泉の保養所などに引湯されている。

最後に大湧谷と同時に発売された箱根温泉の切手、芦ノ湖を紹介する。

箱根温泉(芦ノ湖)

郵政省が発行した「観光地百選」シリーズのひとつ。昭和26(1951)年5月に24円切手として発行された。題材は箱根温泉の芦ノ湖の遠景。


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