保守の構造について


   F/1999-9-19

  今回は、自民党総裁選での議論を見ていると 保守とは何かが疑問になってきたので、この検討を したいと思います。お付き合いのほどお願いします。
 日本の政治は、2つの軸で分類されるべきであろう と考えられる。

1.自然定か人定主義か?
 1つの軸は自然法か人定法かの軸でこの分類をすると、 下記のようになる。

 (自然定主義)
  1.自然法
  2.自然権
 (人定主義)
  3.社会主義
  4.共産主義

の分類で、この内、保守派は神が人間を作ったと考えることで 、自然定を基礎理念としている。
 革新派は、基本的にすべてを人間が決める(人定主義)。 このため、神を信じる必要がないと考え、ソ連では信仰を麻薬で あるとして禁止した。
 しかし、ソ連が崩壊したことにより、人定派(革新派)の根元 的思想が否定されたのです。人間は欲が大きく、全能的な力を 与えると、他の民衆を搾取して自分たちだけの幸福を実現する。 このために、都合の良いように社会を作り、全員の幸福を実現 しないということが判明した。
よって、人間は神にはなれないのだと。この事実を知るために 人間社会は70年を要したのです。
 今後、自然定主義の2つの考え方の闘いが、始まるのです。
自然法派は、英国のバークがフランス革命批判で、仏国の トクウィルがアメリカ紀行で、人権を神から与えられた 平等の権利であり、この権利を社会が守ることは当然の義務であると いう自然権派の考え方を批判したことから始まった思想。
 人間は、生まれた時から平等であるわけはなく、この人間界の改革 は、徐々にそして着実に前進するしかない。もし、急激にやると 弊害が大きくて、社会混乱を引き起こすことが多い。そのため、社会の 慣習や宗教を重んじていくしかない。
 この考え方をしている日本の思想家は、西部先生が有名。私も 西部先生の講演会でこの保守の根元原理がバークにより、提案されて いることを知ったのです。
 日本の憲法をこの観点から、見直す必要があるのではないかと 考えている。日本憲法学者の皆様は、自然権の考えで、日本の 伝統を無視して議論することが多いので注意が必要。
 今後、日本史の伝統を組み込んだ憲法体系を構築していくことが 必要でしょう。
 自民党政治家はこの2つの違いさえ明確化していないので、我々 にはわからない。

2.対外政策
 もう1つの軸は、日本の外交・軍事政策である。親米・反米的か、 親中か反中的か、有事の軍事体制の可否議論がこの観点であるが、 自民党総裁候補で反米主義者はいないはず。自民党反米派の石原さん は都知事になり、横田基地を返せと言ってガンバッテいる。
 すると親中かどうか有事の体制をどうしようとしているのかが争点 であるはず。
 親中派は加藤元幹事長である。今後米中関係は、共和党のブッシュ 大統領になると、気まずくなることが予想できるので、日本は親中で いるのは辛いはず。
 今後この整理を自民党、自由党、民主党がしていただく必要がある。

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