覇権の移行について


   F/1991-9-22

 今回は、覇権の移行について皆様と考察してみたいと思います。

1.歴史からの教訓
 この問題を考えるとき、前回の覇権の移動時の混乱を見ておく必要が あります。
これは、イギリスからアメリカへの覇権移行であることは、皆様にも十分 理解されていると思います。この覇権移行では2回の世界大戦争が必要で した。本当に必要だったのでしょうか?
   ここがこれから考察するポイントです。
第1次世界大戦において、イギリスやフランスなどはアメリカの支援なし には勝利できなかったのです。
このため、戦後の体制の中心にアメリカを入れようとして、米ウイルソン大統領の 提唱する国際連盟を設立した。しかし、アメリカの議会と国民の孤立主義 によって、加盟を否決されてしまい戦後最大のアメリカがいない状態で 国際連盟設立となってしまったのです。

 アメリカがヨーロッパに戦後復興の支援をしなかったために、ドイツに 対しイギリス・フランスは莫大な賠償金を求めてしまった。イギリスは この時点でも覇権国として、いろいろな国際的役割を果たさなければなら なかった。しかし、経済・金融の中心地はアメリカであり、国際収支も 大幅な赤字であった。そのため賠償金をとらないというような寛大なことが できなかったのである。
第2次大戦後はマーシャルプランという経済支援を敗戦国のドイツや日本に 対して、アメリカはおこなっている。なんという違いであろうか?

 1方 ドイツはワイマール憲法の基に民主主義が定着したように見えた。 しかし、莫大な賠償金のため、国民の生活は最低線のレベルとなりヒトラー の独裁を許すことになってしまうのです。
第2次大戦後のように経済援助をしていたら?どうであったろうか。 私はヒトラーの独裁はなかったと思うがどうであろうか?

 もし、アメリカがイギリスから第1次世界大戦後すぐに覇権を移譲されて いれば、第2次大戦が起こったかどうか? 歴史のIFは無意味である。 と皆様は言うと思うが現在同じことが起こっていると言ったら、 どうですか?

2.現在進行の事態について

 ソ連などの共産主義とアメリカを中心とした自由主義の戦いが自由主義の 勝利で終わった。
これを第1次大戦後とみると、その当時のイギリスを今のアメリカ、 その当時のアメリカを今の日本という具合いに見ると、どうですか? 当時のドイツを今のソ連と見るのです。

 いまのアメリカには、ソ連に対する経済援助をするだけの余裕がない。 毎年大幅赤字と出しているためです。余力があるのは、世界的にドイツと 日本です。しかし、ドイツは東欧の援助で手一杯です。 このため日本に期待がかかるのです。<

 金がない国が覇権を握っていると、世界の体制が整備できない。
また、このままにしておくと第1次大戦後のドイツと同じ様にソ連が原因で 再度世界的混乱を起こすことになると思う。これは、前回の覇権移行で 経験済みです。

 アメリカのブレジンスキーがソ連に行って、日本の北方4島を返還した 方がいいと言わせている。これは、1991年に小沢前幹事長がソ連に行き、 4島返還なら270億ドルの円借款をする用意があると言ったためです。 湾岸戦争で90億ドル拠出したが、それの3倍です。日本円にして、 3兆5千億円である。第2次大戦後のマーシャルプランと同等の効果を 上げると思う。

3.日本の対応について
 日本はしかし、覇権をとろうとしていない。国民は1国平和主義の ままである。
これも第1次大戦後のアメリカと非常に似ている。
 早く世界を指導する日本という姿勢をとる必要がある。このためにも、 国民に理解させる指導者の出現を待ち望みます。

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