世界新秩序について



YS/1999.12.23

陰謀好きの方々向けタイトルといたしました。新世界秩序=The New
World Orderはブッシュ大統領が湾岸戦争終結後明確に言いはじめた
言葉です。以後外交問題評議会(CFR)発行の機関誌「フォーリン・
アフェアーズ」でも再三登場しています。特に情報通信事業との関
連にて使われるケースが多いようです。

新世界秩序=The New World Orderは21世紀に向けた新パクスアメ
リカーナの根幹となっており、その構築に向けた手段が情報通信覇
権の実現です。その目的は「グローバル・ビレッジ」の形成です。
全世界の人々がリアルタイムで同一の情報を共有することで、グロ
ーバルマーヶットの創出をねらうアメリカの「マンハッタン計画に
匹敵する」壮大な構想です。多国籍企業と国際金融資本も系列を超
えて推進しています。

この構想にあたったメンバーのひとりがロバート・ルービン前財務
長官です。当時ゴールドマンサックスの共同会長であったルービン
氏はマルチメディアグローバル情報ハイウェーが21世紀に向けて
世界のリーダーシップを取り戻すための有効な手段とみなし、敢え
て冷戦派勢力(軍産複合体)影響下にあるブッシュ共和党をさけ、
民主党クリントン支持を打ち出しました。

『インターネット登場!=情報支配領域』

こうしてクリントン政権は「情報スーパーハイウェー戦略」を強力
に推進しその一環としてインターネット民営化計画を打ち出しまし
た。インターネットはペンタゴンの高等技術開発企画局で核戦略用
として開発されたARPANET(1968年実用化)に歴史をたどります。
クリントン政権は軍民両用技術と位置付け全米科学財団、NASA、
MCIコミニュケーションズ、IBM、メリットワークスが開発し
ました。1995年には完全民営移管が決定され、その一部はアメ
リカン・オンライン(AOL)に売却されました。

現在アメリカン・オンライン(AOL)の取締役会にはアレクサン
ダー・M・ヘイグ・Jr元国務長官(現ワールドワイド・アソシエイ
ツ会長)、湾岸戦争のヒーローであるコリン・L・パウエル大佐が
参画しています。

現在アメリカ政府機関は次世代インターネットとして、高速バック
ボーン・ネットワークの開発をMCIワールドコムと共同で行って
います。また衛星を用いた高速データ通信もNASAを中心に進め
ており、アメリカによるリーダーシップはさらに強固なものになる
と予測されます。国際石油資本もNASA、エネルギー省電気通信
各社、国立ジェット推進研究所と共同でACTS衛星ネットワーク
と地上ネットワーク、海洋船団を結んだ石油探査に乗り出していま
す。まさに金融、産業、軍事にまたがる国家安全保障と直結したイ
ンフラストラクチャーと位置付けられています。

MCIワールドコムの取締役会にもアメリカン・オンライン(AO
L)のステファン・M・ケースCEOが名前を列ねている。またブ
ラウン・ブラザース・ハリマンのゼネラルパートナーであるジェラ
ルド・H・タッカー氏も参加しており興味深い。

最近注目の動向としてカジュアル衣料大手で日本でもお馴染みのG
APの取締役会にコンピューター業界の有名人が集合している。
スティーブ・ジョブス(アップル)、ロバート・フィッシャー(サ
ンマイクロシステムズ)など。GAPは先月インターネット販売で
アメリカン・オンライン(AOL)との提携を発表しており今後の
展開に注目が集まっている。


「戦略」ととるか「陰謀」ととるか皆様の勝手ですが、上記情報は
子連れ会社員がいとも簡単に入手できたもので、陰謀とはこの程度
のものでしょうか。私自身は新世界秩序=The New World Orderに
対して一定の評価をしています。むしろ現在途方に暮れている日本
政府ならびにNTTの姿に危機感が募るばかりです。

小林陽太郎氏に期待しましょう。

ゼロックス取締役。フジゼロックス会長。アセア・ブラウン・ボベ
リ、NTT取締役。日米欧三極委員会日本会長。経済同友会会長。
外交問題評議会(CFR)国際諮問委員会メンバー。スタンフォー
ド大学、ペンシルバニア大学、慶応大学、日本国際大学理事。
そして今は亡き盛田昭夫氏(ソニー会長)の後任としてジョージ・
シュルツ元国務長官が会長を勤めるJ・P・モルガン・インターナ
ショナル・カウンシルのメンバーにも選ばれています。孫正義氏、
藤田田氏、宮内義彦氏とこれまで以上に協調しながら明日の日本を
築いて下さい。


『引用文献』
「国際メガメディア資本」ーM&Aの戦略と構造
  奥村晧一著 文眞堂 1999年 ¥3600 お勧めです

「新世界秩序 上/下」ーポスト冷戦から21世紀新時代へー
  高橋靖夫著 総合法令 1999年 各¥1700 

BGM/-SAIL AWAY-  RANDY NEWMAN
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(読者からのクレーム)
いつも大変勉強になる内容に感服しております。

 ただ、no.67については、失礼ながら「何を今更」という感想を抱
いております。
ロスチャイルド、ロックフェラーなどの欧米財閥の実態については、
血縁関係からなにから、今更調べる必要が無いくらいに、ほとんど
が周知のことです。
 僭越ながら、「赤い盾」という著書などはご存知でしょうか?欧米
財閥に触れるのであれば、必読と思いますが如何でしょう。

 また、「陰謀のセオリー」という映画も、まだご覧になられており
ませんでしたらお勧めです。私には、米国人の手で欧米財閥支配への
批判した初の映画と思えました。冒頭のシーンやロックフェラー
センターの輝きにご注目ください。

 失礼とは思いますが、ご参考くだされば幸いです。
nisiさん
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(著者Fの回答)
ご意見ありがとうございます。
 広瀬さんの本は数冊読んでいます。残念ながら、「赤い盾」は読
んでいません。しかし、その内容はだいたい想像できますが。

 nisiさん以外の知らない人たちに対してのメルマガの時も
あると思ってください。いろいろな人がこのコラムを読んでいる
ので、防衛関係者は軍事やその装備について「何よ今更」となる
はずです。

 私も、得意な分野とあまり得意でない分野があり、金融系は、
専門家ではないです。なるべく、大きな範囲をカバーするよう心
がけていますが、調査や検討が追いついていきません。

 もし、ここにある以上の情報があれば、寄稿してください。
そして、このコラムをより高度な情報源としていただけませんか?
   F
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(YSさんの回答)
nisi様へ

映画「陰謀のセオリー」は存じておりませんが「赤い盾」については
貴重な情報源として参考にしています。広瀬隆氏については最近の集
英社新書「アメリカの経済支配者」も読ませていただきました。いつ
もその情報収集力には感服しております。ただしその情報源がすべて
において開示されておらずこの点で説得力に欠けているような気がす
るのですがいかがでしょうか?

またおそらく広瀬隆氏は企業における所有と支配に関する専門的な
知識を有しておらず、陰謀論者に非常に近い短絡的な表現をする場合
が多くこの点ではいささか問題が多いと思います。確かにロスチャイ
ルド家は特権的立場を有していることは、事実のようですが仮に企業
の取締役会に一族の人間がいたとしても単純に支配につながるもので
はありません。歴史的背景、株主構成、取引金融機関内容、取締役会
構成など総合的分析が必要です。

こうした点で残念ながら私はあくまでも広瀬隆氏個人の見解にもとず
く読み物として楽しませていただいております。片寄った情報依存は
極力さけるべきを信条としておりますのでどうかご了承下さい。

YS/1999.12.24

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