737−1.エンロン・ショック



2001/12/1 MN
YSさんがコラムでお忙しいそうなので、誰か投稿してくれないか
なと思っていたのですが、どうやらないようなので、代わりに一見
解として投稿しておきます。ちょっと、まとまりない文章ですがど
うかご勘弁ください。

■エンロン・ショック

11月28日、世界に衝撃的ニュースが走る。米エネルギー最大手
エンロンが倒産の危機に陥っているという。海外サイトを開くと驚
きのあまりに閉口する。
数分単位で画面を埋め尽くすほどのエンロン関連の記事が並ぶ。
年間売上高70億ドル 従業員2万人。デリバティブを駆使し電力
を中心に実体経済と金融経済の融合ビジネスという現代高度資本主
義の象徴ともいえるビジネスモデルを築き急成長したマンモス会社
。ところが2001年1月時点で60近く高推移していた株価が
11月30日時点で0.36だ。「あっけない」の一言である。
しかし、これが相場なのである。それは枝葉につもる雪のようであ
り、少しずつ積み上げていきながらそしてあるとき一瞬に崩れ去る
。現代人は、どうやら飛行機がビルにでもつっこまない限り、事態
の深刻さを認識できないようである。「目に見える」世界に心酔し
きっている。これから暴走しきっていたマネー経済がいったい何で
あったかを知らしめる象徴的事件として扱われるだろう。98年の
LTCM破綻より、質が悪い。先物を含めた、デリバティブ市場は
、オフショア市場、別名「帳簿外取引市場」と呼ばれる。簡単に言
うならば、先物は担保金を差し入れ、その評価として、市場より信
用をえ、値洗いだけの架空取引を行う。つまり、決済しない限り、
会計帳簿に損益は計上されてこない。エンロンの現段階での負債額
は130億ドルとも160億ドルとも言われているが、それはあく
まで「現段階」に過ぎない。

会社が本当に倒産し、現状で持っているポジションが凡て強制決済
となったらどうなるか?世界のデリバティブは、既に8000兆ド
ルまで膨らんでいる。それは、「先端市場」であり、「末端市場」
でもある。歴史を見ると常にいえることだが、溜まりきった内部矛
盾は、常に末端から傷害を起こすものだ。事実、エンロンのショー
ト・ポジションの手じまいを恐れるアルミ相場は、連日急騰してい
る。エンロン債を組み入れた日本のMMFが元本割れし、証券会社は顧
客への説明に追われている。25年前の証券業界を花開かせたMMFが
地に落ちた。更にエンロンには、シティグループ、JPモルガン・
チェース、ゴールドマン・サックス、英バークレイズなど、有数の
投資銀行が関わっている。エンロン・ショックは、アルゼンチンの
通貨危機あいまって、いずれドル・ショックとなるだろう。戦後
50年を支えてきたドルの落日が間近に迫っているのかもしれない。
 
■過剰流動性相場
しかしながら、我々は過去に一度このドル・ショックを乗り切った
経緯もある。1970年、ベトナム戦争の敗北が決定的となったこ
ろ、米国経済は疲弊し、ばらまいたドルに対するけじめをとれずに
いた。1971年8月15日世界に緊急ニュースが駆けめぐる。
当時の米ニクソン大統領が、衝撃的な政策を打ち出した。ニクソン
新経済対策、ご存じ、ドルと金の交換停止である。これがけじめの
取り方だった。国際通貨不安が世界を駆けめぐる。ドルは暴落、
日経平均は、当時の断続的円の切り上げを好感し2800円まで急
騰していたのが、一転、8月15日のニクソン・ショックを受け、
株価は、数週間で2200まで下落する。世界恐慌か、人々に不安
が募る。しかし、実際にはそうはならなかった。なんと、その後株
価は上がったのだ。2000円の日経平均は、1972年末には
5800円まで上昇している。NYダウも、なんとか1000ドル
台で持ちこたえる。
株価上昇は、73年の第一次オイルショックまで続く。
 戦争によって消費者需要が落ち込む中、流動性が高まっている状
態での公定歩合の切り下げが極度の過剰流動性を創造し、投資市場
へお金を走らせた。株価による業績回復が実需に反映し始め、事態
は乗り切られた。キューバ危機より冷戦体制が続く中で世界の指導
者たちにとって、米国がこけるのはまずかったのだろう。世界協調
による危機の脱出は成功した。このあたりをウィリアム・レポート
と絡めて分析する面白いものが見えてくるかもしれない。
 しかし、今回はどうだろう。ソ連亡き後、対テロは、米国中心の
世界協調体制を造りだしえるのか?京都議定書の一件や連日の欧州
・中国の米イラク攻撃の反対発言をうけても、どうやら米国はあま
り好かれてないらしい。オオカミがハゲタカ・ロシアとくむのもあ
ながち駒の逃げ道は見定められていたと見ても不思議ではないよう
だ。因みにこのあたりはYSさんにお任せします。
とにかく、1日2日かの土日と8日9日の土日の記事は見物だ。
ブラック・マンデーのあの「3日間」になるかもしれない。
 
■ロイヤル・ベイビー
そこに雅子様のお子さまのご生誕の一方が届いた。
昭和天皇ご誕生は1933年。当時、満州事変や5.15事件でお
先真っ暗ムードの中、マイナス1%成長だったのが、一気にプラス
4%にまでいった。今の天皇の際は、1960年だったがこのとき
も9.2%成長だったのが13%までのびている。「ご祝儀相場」
の到来か?
日経は既に2番底を取っており、いつでも資金受け入れ体勢はでき
ている。14兆円の経済効果は、どこにむかうのか?
 小泉首相にとっても起死回生のチャンスになる。リミットは、
来年3月の決算までである。
テロによって極度に過敏な状態にあり、デフレ、デフレといいなが
ら、日銀の量的緩和政策によって、ジャブジャブ状態にあるマネー
はどこに行くのか?ヘッジ・ファンドはぞくぞく日本国債に空売り
を仕掛けているようである。日本初過剰流動性相場を創り出すのに
はもってこいの状態である。雛形は既にある。
 
■個人的に思うこと
 マーシャルのKとかいって、フリードマンが喜びそうな高度なこ
とを言うつもりはありません。
結局、ところてん政策は、恐らく実行に移さざるをおえないとは思
います。しかし、如何せん30年前と違い、公定歩合の下げ余地が
全世界的にあまり残されていない。そういういみでは、過剰流動性
相場の寿命が気にかかります。アメリカが時代の潮流を受け入れよ
うとしない限り、この事態を乗り切るのは不可能に近いと思ってい
ます。北朝鮮にまで、手を出している。アメリカ株式会社は軍事部
門を強化しすぎている。
 油田の火災はニトロ爆弾で吹き飛ばすらしい。
 
過剰流動性30年の波、
第2次大戦以来60年の波、
資本主義200年の波、
西洋文明と東洋文明の潮流交代期としての800年の波、
文明社会3000年の波、
人類誕生6万年の波、地球の波。
 
「物質」「みえる」という何千年と続いてきた陰陽学の陰の世界が
極まろうとしているように思います。
陽は何なのでしょうか?
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勿論陰謀論ですべてを説明するのもおかしいと思いますが。
                       まじなおじさん 

 MNさんYSさん、ご丁寧なご返事をいただきありがとうございました。
いろんな情報が錯綜している中、ホントのところはどこにあるのか
を見つけだすのはまことに困難を極めると思います。 
私事ですが、元学徒兵の亡父が云ってたことで、戦争において真実
を知らされずに死ぬ兵士ほど哀れな者はいない、どうせ死ぬなら敵
の姿だけでもこの目に焼き付けて死にたいものだと云って敵陣に切
り込んでいったのだ、という話を思い出しました。 
直接的に命は奪われないものの激動が渦巻いている状況はまさに戦
時中と同じなのではないでしょうか。 
なぜ俺は解雇されねばならないのか、なぜ会社は倒産したのか、
等々、それなりに納得したいという欲求は一般人として当然だと思
われます。 
私が幼少の頃よく祖父に日本は精神では勝っていたのだが米国の物
量に負けたのだと聞かされたものでした。それじゃ物量つまり経済
力を付けなければならないと云うことで戦後ずっとやってきたよう
にも思われます。 
ホントのところはそんな単純なのではなくいろいろな側面があり結
果として歴史が刻まれてきたのだと知ったのですが、知れば知るほ
ど欧米や中国、ロシア、ユダヤの謀略にまんまと乗せられてきたの
は事実と違いませんか? 
誠実であることは善であると代々教えられてきた一般的日本人にと
ってなんと現実世界は理不尽で住みにくいのであろうかとつくづく
思わされます。 
MSさんやYSさんのように理知に富んだハイグレードな方々が己のこ
とだけではなく無知で哀れだが誠実さだけはまだ残っている一般日
本人がその誠実さを失わないですむ方法をご教授されますよう切に
お願い申し上げます。  
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まじなおじさまへ      MN
私とYSさんが同じ立場なんておかしいです。 
私は、YSさんの300段ぐらい下のものです。 
率直に申し上げて、勉強中です。でも、今は勉強してるだけじゃ間
に合わないんです。ですから、生きた言葉を聞き、自分でも責任を
持ってなんとか追いつこうと毎日しがみついているんです。
 陰謀というよりか、「日本人が人が良すぎ」という一言でも片づ
けられないようなきがします。東洋世界全般に共通して、宗教改革
を経験しなかったからだ考えていますが、大方はやはり勉強不足の
ようです。 
いろいろな方とお話ししますが、金融への理解が不足しすぎてます
よ。(特に学者さん)株価というのは、ようは梃子の原理の世界な
んです。これに先物がつけばどうなるかわかりますでしょう。 
 小さな力で大きな存在を支配しようとするのは、時代に代わらず
権力者のサガなんじゃないでしょうか? 
 ユダヤ人は、金融にしか生きる道のなかった流浪の民ですよ。 
それは、相当鍛えられましたでしょう。 
それを陰謀と片づけるのは、間違いです。 
何でもかんでも競い合いの社会に持っていったら、当然、強い者が
勝つではないですか。それに対し、ひがみの気持ちを持ってしまう
のはちょっとおかしいと思っています。 
 また、本質は単純だと思います。 
要は、「権力者はフランス革命を恐れ、名誉革命をのぞみ、景気に
都合がつかなくなったら、仮想敵を作って戦争を起こす」 
 今は、このように考えています。 
私のような者の意見で良ければ、是非これからもお役立てください。
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米エンロン、更生手続き難航必至 
 【ニューヨーク3日=篠原洋一】米連邦破産法11条に基づくエン
ロンの会社更生手続きは難航が予想される。複雑な金融取引の全容
解明に膨大な時間がかかるうえに、米証券取引委員会(SEC)が
進めている調査結果次第では刑事事件に発展する可能性もある。経
営破たんで被害を受けた株主や従業員からの提訴への対応も迫られ
る。資産規模ベースで米史上最大の倒産という大きさ以上に関係者
を驚かせたのが、裁判所に提出した資料に添付された債権者の膨大
なリストだ。実に54ページ分。 
 デリバティブ(金融派生商品)を駆使したエンロンの金融取引は
あらゆる価格変動商品を対象にしてきた。米有力紙ニューヨーク・
タイムズは2日、用紙・印刷コストの変動リスクを回避するために
エンロンと契約を結んでいたことを明らかにした。同紙はエンロン
破産が契約にどんな影響を与えるかを試算中だ。個々の債権者、取
引先との関係を明らかにしていくだけで多大な時間を要するのは確
実だ。 
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デフォルト懸念高まる 経済危機のアルゼンチン
【ワシントン6日共同】国際通貨基金(IMF)が5日、巨額の公
的債務を抱え経済危機に直面しているアルゼンチンに対し、今月予
定する13億ドル(約1600億円)の融資承認を留保したことで
、融資受け入れの失敗によるデフォルト(債務不履行)懸念が急速
に高まっている。IMFはアルゼンチン政府と協議を続ける方針を
表明したが、米国景気の後退期入りで世界経済は不透明感が増して
おり、アルゼンチンの債務問題が年末にかけて最大の波乱要因にな
りそうだ。IMFが融資に踏み切れないのは財政赤字削減など経済
改革が未達成のため。デフォルト回避に向け、自国通貨ペソを切り
下げて輸出競争力を確保する方法や、通貨に米ドルを採用し信用を
高める構想を検討中とも伝えられる。 

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