637−1.米国の本音



        マスコミの役割         YS
今日の日経は注目です。この関連は1面と8面に掲載されています
。日経ネット上では、その一部しか掲載されていないため、補足引
用しておきました。 

内容的には朝日掲載のジョセフ・ナイ米元国防次官補の考え方と一
致しているようです。 
「625−1.参拝をなぜ変えたのか??」参照 
(http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/1308181.htm) 

おそらく混迷する日韓関係修復のために、意図的に日経との会見を
行ったと見るべきでしょうね。ただし日中関係修復にたいしてコメ
ントしていない点は、米側の国益にそぐわないからでしょう。この
あたりの隠れた意図も冷静に見ておく必要があります。 
日経さんも十分このことに気付いているはずです。 
偏狭な感情論が渦巻いている中で、一歩踏み込んだ論評があっても
良かったのではないでしょうか。 

日韓関係の修復期待・米国務副長官(日経) 
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20010824CF1I018323.html 
 【ワシントン23日=春原剛】アーミテージ米国務副長官は22日、
日本経済新聞との会見で、同盟国である日本と韓国との関係が靖国
問題などで悪化していることに憂慮の念を示し、早期の関係修復に
強い期待を表明した。小泉内閣による日本の構造改革を「支持する
」と言明するとともに、10月のブッシュ米大統領の訪日時には日米
同盟の重要性を強調するとの考えを示した。 

 ブッシュ政権で日本を含むアジア政策を総括するアーミテージ副
長官は、小泉純一郎首相が靖国神社を13日に参拝したことについて
「(周辺諸国からの反発を)首相は和らげようとした」と指摘。
一方で、韓国がこれに激しく反発していることを念頭に「韓国の
金大中大統領が小渕政権時代に素晴らしい訪日を果たしたのはそれ
ほど前ではなく、その時に早く戻ることを期待したい」と言明した。
場合によっては、日韓の仲介役になる可能性も示唆した。 

以下8面より 

 教科書問題や小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題を巡る日本とア
ジア各国とのあつれきについて、米国は「従来からコメントしない
ことが基本方針」(ホワイトハウス)としてきた。しかし、今回の
会見でアーミテイジ副長官は小泉首相の韓国との摩擦回避の努力を
評価しながらも、「米国の憂慮」を明言、従来から一歩踏み込んだ
姿勢を見せた。 

 日本と韓国はアジアにおける米国の重要な同盟国。同盟重視の外
交を掲げるブッシュ政権にとって日韓両国の関係がこのまま悪化を
続ければ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とのミサイル開発阻
止を巡る交渉で、北朝鮮に日韓の足並みの乱れを突かれる恐れがあ
るなど、米国のアジア外交の足元が揺るぎかねない。 

 しかも、アーミテージ副長官は十月に北京で予定されるブッシュ
大統領と江沢民中国国家主席との会談は「みんなが驚くようなニュ
ースは出ない」と述べ、米中の関係改善は、限定的なものになると
の見方を示した。そうであればなおさらアジアの安定のために日米
韓の緊密な協力が欠かせない。こうした事情が日韓の関係修復のた
めに、米国が仲介役をしても良いという異例の申し出につながって
いる。 
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米大統領、ABM条約離脱の意思を改めて強調
 【ワシントン23日=春原剛】ブッシュ米大統領は23日、弾道弾迎
撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃問題について「(ミサイル防
衛構想の実現に向けた)日程に基づき、ABM制限条約から離脱す
るだろう」と述べ、同条約から脱退する意向を改めて表明した。
休暇中のテキサス州クロフォードで記者団に語った。 
 一方で大統領は「ABM制限条約を乗り越えたいという我々の願
望を(ロシアの)プーチン大統領はわかっている」と指摘し、ロシ
アとの交渉を前提にしていることも強調した。 

 米ロ両国は9月に外相、国防相会談をそれぞれ予定しているほか
、ブッシュ、プーチン両大統領による首脳会談も10、11の両月に相
次いで開く。米側は一連の会談でロシアに一定の政治決断を迫る構
えを強めており、ブッシュ大統領の発言はこれまでの政府間交渉で
態度を明確に軟化させないロシアをけん制する狙いがあると見られ
る。 

 ブッシュ大統領は条約離脱の時期について「特別なものは考えて
いない」と述べた。 
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[政治報道]<黒田陽子>  GWR
(1)米、国連を舞台に再び「一方的外交」?
 アメリカがまた国連を舞台に「一方的外交」に走ろうとしている
。16日付けワシントン・ポストによれば、下院共和党が国連負担金
支払いを人質に、国際戦争犯罪法廷(ICC)で米兵免責を認めさせる
法案を推進しようとしているというのだ。同紙のスクープ記事によ
ると、9月にブッシュ大統領の国連総会演説を控え、政権は国連負
担金未納分の一部でも支払いを済ませたいのだが、保守派共和党が
それを逆手にとり、「ICCでの米兵免責を認める」とする「米兵保護
法(今週の言葉を参照)」を実現しなければ、支払いは引き続き
保留すると脅し始めたという。
 ICC創設については、クリントン前大統領が任期終了間際に「議会
批准は不可能」を承知で調印した。その後を継いだブッシュ政権は
ICC設立に反対しており、できるならば署名を撤回したいとまで考え
ている。とは言え、一連の国際条約撤退の動きから国内外から「一
方的外交」と批判される中でのこのような動きは歓迎できない。特
に国連総会演説まで3週間というタイミングも政権をいら立たせる
要因となっているようだ。
 この米兵保護法案は国務省事業予算の修正案として付帯されたも
ので、5月にすでに超党派で下院を通過している。ICC懐疑派に加え
、この直前に、国連人権委員会がアメリカを委員から追放したこと
に対する反発で賛成票を投じた議員も多いという。国連負担金未納
分一部支払いについては上院が年初に無条件で承認しているため、
今後の焦点は9月の議会再開後の上下両院の一本化作業になる。
だがそこでディレイ下院多数党院内幹事が立案した米兵保護法案を
無視すれば、保守派が法案全体を拒否し、政権が目指す支払いが不
可能になる危険性もある。このため、ニューヨーク・タイムズ(17
日付け)は、「共和党は自ら招いた板挟み状態にはまりそうだ」と
解説している。
 この他にも、8月31日〜9月7日に南アフリカで開催される国連
人種差別会議に参加予定だったパウエル国務長官が、会議ボイコッ
トを検討しているとも言われている。「アラブ諸国が会議をイスラ
エルによるパレスチナ人差別を批判する場にしてしまう可能性があ
ること」「アフリカ諸国がアメリカのかつての奴隷制度に対して賠
償・公式謝罪を求める可能性があること」を理由に不参加姿勢を示
しているのだが、折からの「アメリカ一方的外交」に対する声高批
判に反響して、国内外で米会議不参加への非難が高まっている
(同日付けUSAトゥデイ、ボストン・グローブ)。


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