591−2.企業の構造改革について



小泉首相の構造改革が話題であるが、企業の構造改革を検討しよう。
               Fより

T君と話していて、気がついたが、大会社も大きな問題を抱えてい
るようですね。彼の会社ではないが、構造改革が待ったなしの状態
になっている企業もあるようだ。

1970年代は高度成長期であり、ドンドン人を採用した。この世
代は「団塊の世代」であり、人口的にも他の世代より多い。
高度成長に、安価な労働力を確保でき、多くの仕事を米国から奪っ
た。しかし、この安価な労働力が高価な労働者になって、会社の固
定費は、他の諸国より高くなり、中国に多くの仕事を取られること
になっている。このため、この40代から50代の社員が企業経営
的にも問題が大きいのです。しかし、50代の世代から言わせれば、
年功序列の給与体系で、若い時は安く、かつ長時間働いた。その時
の給与を今頂いていると言う。しかし、もう会社はこの固定費を負
担できない。

また、機械化により、過去の経験が必要なくなっている。通信で、
集約した保守ができるため、保守要員も多くはいらない。アウトソ
ーシングで、ほとんどの事務的な仕事は派遣社員になっている。
1時間2000円前後、月大体32万円前後。

機械保守要員、工場要員、事務作業要員で団塊の世代の人たちを会
社で年功序列的給与を保証できなくなっているのです。1時間当た
り5000円以上、厚生年金、健康保険などを積むと、倍以上にな
っている。勿論、知能労働、金融事業、ノウハウ的な要素の大きい
職種の団塊の世代の人たちは、引く手あまた。ヘッドハンティング
でより高給を取ることも可能である。

今後、益々中国とのジョブ争奪が起こるので、同じ仕事では、中国
と同程度の給与になるまで、サラリーは落ちることになる。そして
、米国・欧州とのジョブ争奪は知能勝負になるため、相手を出し抜
かないと、仕事が取れない。きびしい競争を勝ち抜かないと日本の
成長はない。ソニーに元気がない。新しいアイデアがない。これで
は、将来、危ないことになる。井深さんがいないだけで、アイデア
がなくなる。このように個人の力は大きいことが分かる。

しかし、ソニーを含めた日本企業は、個人のアイデアを皆で潰して
いる。ベンチャーのいいアイデアを大企業に持っていっても、いい
とは言うが、その先にいかないという。これではダメでしょうね。
T君の所に来るベンチャー企業が嘆いていると。

大企業が固定費を押さえ、新しい製品を生み出しつづけないと、
利益が出なくなる。そんなの分かりきったことなのに、判断しない。
どうしようもない団塊の世代ですね。企業が硬直化している。

もう1つが、クローズド市場からオープン市場になっているため、
価格がドンドン低下する。この低下に日本企業が追いついていない
。世界的視野で部品調達を行い、日本にはキー・テクノロジーを、
残すことが必要である。何が儲かるかの判断スピードも問われる。
このスピードがないと、新製品で出し抜かれる。台湾・中国などと
の競争はたいへん。大学の使い方では日本が一番遅れている。産学
協同、大学の民営化、結果と成果の透明化をするべきでしょうね。

最後に、間接金融中心の財務体系から直接金融中心の財務体系に変
更する必要があるのでしょうね。金融機関は、リスクなし。全リス
クを企業が負って事業を進めるのであるが、今後のビジネス物件を
見ると、企業で負担できるリスクではなくなる。8万m2のビル1
本で250億円程度であるが、現在それだけの資金余裕がある不動
産会社はない。

また、それだけの金を不動産会社に貸す金融機関もない。
しかし、個人貯蓄は1400兆円もあり、金融機関の金利は1%未
満となっている。この金を狙うしかない。中リスク中リターンとい
うような不動産証券を発行して、投資家に販売すれば、企業も全リ
スクを抱えずに、個人投資家は金利5%から7%のリターンを得ら
れる。
株に比べて、リスクは少ない。日本の活性化はこのような個人の貯
蓄の移動があって初めて、始動するような気がする。この体制を
日本は整備する必要がある。不動産の格付けやディスクロージャー
の体系をどうするかでしょうね。


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