579.移民問題について



70-2の移民問題について、意見を書きたいと思います。
                      モスクワよりK
私は現在モスクワに住んでいます。ご存知のようにロシアは多民族
国家であり、外国人も非常に多いです。モスクワでの経験から、移
民問題を考えていきたいと思います。

1、ロシア人はなぜ日本人を尊敬し、中国人とベトナム人を軽蔑する
か?
ロシア人は日本人を尊敬しています。しかし、同じアジア人でも中
国人やベトナム人を軽蔑しているのです。もちろん全てのロシア人
がそうではありませんが、経験から大半の人がそうです。

なぜ日本人は尊敬され、他のアジア人は尊敬されないのでしょうか?
まず日本人のイメージがいいと言うことです。ロシア人の持つ日本
人のイメージは、「トヨタ、ソニー」です。日本は、「ハイテクの
国、金持ちの国」と思われ憧れの的になっています。

モスクワに住む日本人は少なく、学生以外の大半は大企業の駐在員
です。駐在員の多くは高級マンションに住み、運転手着きで優雅な
生活を送っています。一般のロシア人が日本人にお目にかかること
はめったにありません。これがまた日本人の評判を上げる結果にな
っています。

ところが中国人やベトナム人は、「不法労働者」というイメージで
す。食料品や衣服などを密輸して違法に売買しているという印象。
中国人やベトナム人はよく、青空市場などで自国の物品を売ってい
ますので、ロシア人が彼らを目にする機会も多いです。

90年代の初め、モスクワが物不足に陥った時、「ベトナム人が全部
買い占めたから物がない」との噂が流れました。何の根拠もない噂
ですが、ロシアの一般人はそれを信じていました。

結論を言うと、ロシア人は、日本人が社会的にいい職業につき優雅
な暮らしをしているために日本人を尊敬している。しかし、中国人
とベトナム人は、違法な仕事をしたり、泥臭い仕事をしているため
尊敬していないとなります。

なぜこのことを書いたかと言うと、日本の移民に対する考え方を心
配しているからです。「移民受入賛成派」の大半は、「労働力が不
足する為、外国からの労働力を受け入れる必要がある」としていま
す。問題は、外国人が行う労働の内容です。その内容とは、日本人
が「汚い、怖い、かっこ悪い」と言って嫌がるような仕事が大半な
のではないでしょうか?

外国人が入って来て、日本人が嫌がる労働をしている時、日本人は
「我々の嫌がる仕事をしてくれてありがとう」と感謝するでしょう
か?私は、ロシア人がそうであるように、「外国人を軽蔑し、差別
する」風潮が高まるに違いないと思います。

既に欧州では移民が重要な問題になっています。オーストリアや
ドイツでネオナチが支持されているのは、安い労働力である移民に
職を奪われている人が増えているからです。

日本は、欧米のやっていることを成功したことも失敗したことも何
でも受け入れる悪い癖があります。
教育がそのいい例です。アメリカの失敗した教育を受け入れた結果
、日本の学校は悲惨になったのではないでしょうか?何かを受け入
れる前に、それを採用した国の現状を詳しく調査し、成功したこと
は受け入れ、失敗したことは見習わない努力をするべきでしょう。

移民の問題も同じです。欧州各国で大問題になっている移民政策を
どうして見習おうとしているのか理解できません。

2、正しい移民政策とは?
「移民はだめ!」だと言うだけでは解決策になっていませんので、
次に「正しい移民政策とは何か?」について考えてみようと思いま
す。

結論から言うと、「金持ちや優秀な人材をどんどん移民させる」の
がいいと思います。
ロシアで日本人が尊敬されているのは、大半が大企業の駐在員で、
ロシア人からみても「スマートな仕事」をしているからです。
ですから日本人が外国人を尊敬し、お互いに仲良く共存していく為
には、「日本人が嫌なことをする外国人」ではなく、「日本人も尊
敬してしまう外国人を受け入れる」必要があるのではないでしょう
か。

例えば、アメリカにおける「インド人プログラマー」がいい例です
。彼らが米国で活躍していることが、どれだけインドのイメージア
ップにつながっているかわかりません。

もっと身近な例ではイチローです。(彼は移民ではありませんが)
イチローが活躍することで、どれだけ日本人のイメージがアップし
ているでしょうか。日本人と外国人が仲良く暮らすためには、「日
本人が尊敬できる外国人をどんどん受け入れること」が不可欠です。

ではどうしたら「金持ちや優秀な外国人」が集まるのでしょうか?
その為には、税金をうんと引下げる必要があります。日本は、世界
が認める安全な国です。金持ちの外国人は、ホントは日本に住みた
いと思っているはずです。しかし、税金が高いので引っ越せないの
でしょう。

このようにしてどんどん金持ちを受け入れれば、結果的に日本の税
収も上がるはずです。また金持ちは普通、社会的地位を投げ打って
犯罪を犯すようなことはしませんので、外国人の犯罪が問題になる
ことは減るでしょう。ここで言う犯罪とは、窃盗や強盗等の目に見
える犯罪のことです。金持ちも犯罪を犯すでしょうが、一般人を襲
ったり強盗するなど、日本人に「反外国人意識」を起こさせるよう
な犯罪はしないでしょう。

3、汚い仕事を誰がするか?
もう一つの問題は、日本人が嫌がるので労働力が不足する仕事を誰
がするかです。もちろん貧しい国からの移民を労働力として受け入
れるという選択肢は除外します。

これは、ロボットにやってもらうのがいいのではないでしょうか?
汚かったり、怖かったり、かっこ悪い仕事と言うのは大体単純な肉
体労働です。その程度の労働であれば、全部オートメーション化で
きるはずです。少々複雑な労働であっても、現在の技術の進歩を見
れば、高齢化が深刻化する前に解決できると思います。もちろん、
ロボットが普及するために、国が何らかの形で支援する必要がある
でしょう。

高齢化が進めば、日本人が嫌がる分野以外でも労働力が不足するか
もしれません。それは移民を受け入れてもいいのです。要は、日本
人が嫌がる仕事を外国人にさせなければいいのです。

4、結論
長くなりましたので、簡単に結論を書いておきます。
a)日本人が嫌がる仕事をさせるための移民受入は間違っている。
結果として、外国人に対する差別が広がることになる。これは、既
に欧州などで起こっていることである。

b)移民を受け入れるのであれば、金持ちで優秀な外国人を入れるべ
き。そうであれば、日本人も外国人を尊敬し共存できる。その為に
は税金をうんと下げる必要がある。

c)日本人が嫌がる仕事は、外国人にさせずにロボットにやらせたら
いい。日本政府は、ロボット普及の支援をするべき。

以上です。
モスクワよりK
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(Fのコメント)
その通りですね。スイスの真似をすればいいということですね。
スイスは金持ちを優遇している。アメリカのオードリー・ヘップバ
ーンも晩年40年間、スイスのトロシェナ村に住んでいた。
そして、金利1%という銀行金利でも世界から大量の資金がスイス
に預金される。しかし、労働移民をほとんど認めない。17万人い
る海外からの労働者は、許可された期間以上には労働できずに、本
国に帰らねば成らない。不法滞留に対しても、厳しい対応をしてい
る。

もし、日本国籍を認めるとしても日本人としての文化があることが
国民としての当然の資格でしょうね。このため知識文化の試験によ
り、日本国籍を持たすことがいいと思う。労働者で日本語ができな
い人を国民と認めることはしない方がいい。それでも、労働者不足
は起きる可能性があるため、スイスと同じような労働期間限定のビ
ザを発行して、対応するのがいいと思うが。
くわしくは、下記コラムに
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak1/1206252.htm


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