544.パリの追加情報



                          得丸久文
Tさん、ご出張お疲れさまでした。5月のパリ、いいですね。
パリは、復活祭を過ぎると、急に観光客が増え、木々が緑の葉をつ
け、美しく輝き始めます。一年で一番パリの輝いている時期にいっ
てこられたのだと思います。

>  また街の中にケバケバしい色が少ない。広告の規制

パリは、もともと城壁都市で、環状道路(ペリフェリック)がほぼ昔
の城壁の位置にあります。(喜安朗「パリの聖月曜日」平凡社は、
アルコール持込税を逃れるために城壁の外にできた飲み屋街につい
ての話、おすすめです)今でも、この城壁の中だけがパリで、外は
パリ郊外(バンリュ−パリジャン)と呼ばれています。

僕も詳しく知っているわけではありませんが、この城壁の内部=パ
リでは、広告だけではなく、建物の壁の色や高さなど、実にさまざ
まな規制が行われています。だからあんなに色気があるのですね。

最近思うのですが、街並みがきれいかどうかには、観光資源として
の意味もありますが、その町に住む人の意識形成という点でより大
きな意味があるのではないでしょうか。パリに住む人のもつ雰囲気
と、パリの街並は、共振していると思います。

落ち着きのある景色を見て暮らすのと、けばけばしくショッキング
な色合いの景色を見て暮らすのとでは、そこに住む人間の心が違っ
てきてもおかしくありません。

昨今日本で「こころない」事件が続々と発生しているのは、日本の
街並みがそこに住む人間のこころを殺伐とさせた面も否定できない
と思うのです。

人の暖かい視線を感じたり、冷たい視線を浴びるのを感じたりしま
すよね。視線は、心とつながっているのではないでしょうか。だか
ら、暖かい心はあたたかい視線を送り、冷たい心が冷たい視線で人
を刺す。

だとすると、逆に、やさしく心を洗うような風景は、心にやさしい
信号を送るのではないでしょうか。殺伐とした風景やどぎつい風景
は、心に殺伐とした信号や、どぎつい信号を送りこむのではないで
しょうか。

論語の「里は仁なるを美とす」という一節があります。これを私は
「できるだけ、心のやすらぐところに住まなければならない」とい
う意味に受け取っています。

もっと美しい街並みをつくらなければならないと思います。電線の
地下埋設もいいですが、それに限らず、広告規制、ビルの色や形の
規制、そして人間の心が美しくなるようにするにはどのような街並
みが最適かといったことの研究、、、

荒川修作がつくった岐阜の養老天命反転地には、そのような問題意
識を感じます。まだいったことのない方はぜひとも、訪問してみて
ください。
(2001.05.24、博多にて、得丸久文) 
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(Tのコメント)
得丸さん、追加情報ありがとうございます。パリでは毎日雨にたた
られましたが、新緑の緑がよかったですね。パリの町にはハイセン
スな美しさを感じますね。クリーム色とアクセントの赤、黄色、緑
の色の使い方が上手ですね。街の構造での幾何学美を大切にしてい
る。それと、最先端なことを取り入れるのだという感覚がある。
パリは、その前のローマ・ミラノを都市として抜かすしはどうすれ
ばいいかを考え抜いた結果のような気がする。
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>ここ三十二年間ドイツに住んでおり、浦島太郎のようなものだが、
>外からの視点で語りたい。私は終戦の時は六歳で、旧満州(中国東
>北部)から引き揚げてきた世代だ。

得丸です、
日本列島には戦勝国の呪いがかかっているのではないかと思います。
いったんこの国の外に出てものを考えないと、マトモな発想はでき
ません。私自身、20代で1年間、30代で6年間、海外で暮らし
たおかげでものごとをマトモに考えることができるようになったと
思っております。
若い方、ぜひとも長期間海外で生活することを心がけてチャレンジ
してみてください。
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EU連邦化構想、「独とは議論の余地」・仏大統領
 【パリ12日=柴山重久】フランスのシラク大統領とドイツのシュ
レーダー首相は11日夜、パリで非公式会談を行った。シラク大統領
は会談後、記者団に対し、4月末にシュレーダー首相が示した「欧州
連邦化構想」について「議論の必要がある」と述べ、両国間に意見
のズレがあることを示唆した。一方、シュレーダー首相は「6月の
スウェーデンで開く欧州連合(EU)首脳会議に向け、両国の立場
はすべて一致した」と強調した。 
 シュレーダー首相が提唱している欧州連邦化構想は、EU拡大に
伴うEU組織の効率化を目指したもので、具体的には(1)欧州委員会
を欧州政府に改組(2)欧州議会に予算決定権を付与(3)閣僚理事会を
議会に改組し、従来の欧州委との二院制に移行――などを指す。
独主導の機構改革には英仏などが強い警戒感を示しており、ロイタ
ー電によれば、欧州委員会のプロディ委員長も14日に発売される
独シュピーゲル誌とのインタビューで、欧州委の権限強化は支持す
る一方、閣僚理事会の改組には「より良い案がある」と語っている。 
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■通信 はじけた携帯バブル  newsweek
 次世代携帯電話の覇者をめざして突っ走っていた欧州勢が、一転
して「バブル崩壊」にあえいでいる。次世代用の周波数帯の使用免
許を異常な高値で取得したあげく、莫大な負債にあえいでインフラ
整備などに手が回らない結果となっているからだ。欧州で2008年に
生き残っているのは大手5社だけとの予測も出ているほどで、「未来
の電話」の行く末には大きな暗雲が立ちこめている。そんな欧州勢
を尻目に、次世代レースでは日本のドコモと韓国のSKテレコムが
リードしている……。


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