520.日本再生への異論



副島さんのHPで、次のような説を表明しているので、紹介と私の
反論を述べたい。  Fより

日本の再生はできないと副島先生は言っている。
(引用開始)
その理由は、毎年、10兆円の公共事業費、と、15兆円の社会保
障費(福祉の負担)は、どうしても掛かる費用として出して行かね
ばならないのだ。
その他に、公務員の給料と、5兆円の防衛費とか。だから、この観
点からも、財政再建路線というのは、「郵貯の民営化」の話でもし
なければ、有り得ないのだ。

それから、日本の国債の暴落(今は、金利が、1・3%にまでさが
っているが、これが、暴落と共に6%とかに急騰する事態が起きる
)の可能性と、それが、アメリカを直撃する可能性、そして、政府
の他に、日本の銀行・生保・証券が保有する米国債を売却して資金
が日本に戻る(そうせざるを得ない)可能性については、ここでは
もう書かない、そうなったら、アメリカの株式と債券市場はやっぱ
り、大暴落で、それから、世界金融恐慌となる。このシナリオは、
おそらく私が、国内の誰よりも早く見抜いて、『日本の危機の本質
』(1998年3月刊、講談社)で書いた通りの筈だ。違うのか。
みんな、厳密に検証してみてほしい。

そうなるとアメリカが困る。日本発の世界恐慌を起こせ、と私は書
いた。それを一番嫌がるのは、アメリカのグローバリストどもだ。

先ほど読んだ、ここのサイトのひとつの『日本英語の謎を解く』に
おくやま君が、ポール・クルーグマンの最新のニューヨーク・タイ
ムズ紙のコラム記事を載せている。その中に、つぎのような個所が
あった。それは、要約すると、小泉は、改革のようだから歓迎すべ
きだ。しかし、今、彼が、本気で改革をやる、それはフーバー=メ
ロン型の改革になって、アメリカに悲劇が押し寄せ、世界恐慌にひ
きずり込んでしまう可能性がある」というものだ。これは、すばら
しい分析である。
このように、アメリカは、日本の景気が更に崩れて、日本国債の引
き受け手がいなくなり、それが回りまわって、アメリカの金融市場
に波及し、かつ、危機に瀕した日本企業が無理やり保有させられて
いる米国債を売却することで、アメリカが道連れにされることを本
気で心配しているのである。そうでなければこんなにアメリカ政府
が日本に対して神経質になる筈がない。日本の金融力はものすごい
ものであり、アメリカが強制して市場を歪めたので、その報いがア
メリカに襲いかかってゆこうとしているのである。いい気味だ。
これが市場原理(経済法則)なるものの恐ろしさだ。だから、人為
的に市場をおかしくした者たちの上に、今、天罰(神の怒り)が落
ちようとしているのである。なるように成らせればいいのだ。

小泉は、@景気回復できるか。A経済構造改革(即ち、財政再建=
緊縮財政、財政赤字削減)できるか。B行政改革できるか。すなわ
ち郵便局の民営化に着手できるか。石原伸晃という慎太郎からの人
質を取って。C安保(軍事、防衛)政策で、「集団的自衛権 
Collective Self Defence Rights コレクティヴ・セルフ・ディフェ
ンス・ライト)の行使」に踏み切るか。即ち、米軍と自衛隊を一緒
に台湾海峡にまで出動させて、中東からの石油の輸入ルートである
タンカーのシー・レーンを防衛分担し、米軍の肩代わりをして、し
かも、中国軍とぶつかることがある時には、米軍と共に戦うか。

以上の4点が焦点となっている。これに表面的なやらせの、緩衝剤
的な議論としての、D首相公選制の憲法改正による導入というのが
ある。

私の結論は、小泉純一郎総理は、上記の5つのいずれも出来ない、
と予測判断する。この言い切り方は、現在の日本の風潮に反するも
のである。国民は、現状の大不況(デフレ・スパイラルによるデフ
レ経済)を何とかしてくれ、と小泉に期待している。こういう期待
は常にあるべきものでありそれ自体は、好ましいものだ。しかし、
それらを実現する条件が、全く、整わない、そろわないのである。
だから、たとえ、小泉政権が、7月末の参院選を乗り切り、9月の
総裁選挙を乗り切ったとしても、そのあと、小泉と加藤紘一とそれ
から山崎拓らのYKKは、自民党を割って出て行くことになると私
は、冷酷に予測する。その時は、自民党という国民政党の終焉の時
だ。自民党はなくなるだろう。

ただし、自民党は無くなっても、今の政治家たちはほぼ全員が生き
残る。今の政治家たちでやっぱり日本の政治は運営されゆく。この
事もはっきりしている。だから、日本は政党名が変っても、このま
ま行くのである。

@の景気回復は、有り得ない。少しぐらい株が上がったぐらいで、
国民の気持ちが明るくなったぐらいで、経済全体がどうにかなるも
のではない。私は、テレビの討論会に並んでいる経済学者たち全員
に反感を持っている。ウソばっかりの議論をするな。

私の立論は、次のとおりだ。「日本政府が、年間予算で、30兆円
の赤字国債を発行する、という政策は、アメリカと約束した(ある
いは、させられた)ことなのである。だから、議論は常に、30兆
円の赤字国債をいつまで続けるのか、である」
そして、3年後1000兆円の累積赤字になる。
http://soejima.to/
(引用終わり)

この意見に賛成の部分は、小泉首相も国債を30兆円にすると公約
しているが、30兆円以下にすると言わなかった。この理由が、副
島さんの見解で了解できた。そして、財政投融資の赤字は恐らく、
100兆円ぐらいあるから、後3年分の国債赤字で、3年後は
1000兆円の赤字になるでしょうね。現時点で650兆円です
から。

日本発の世界恐慌が確実ですね。国債をだれも買わなくなるから、
国としても、米国国債を売る必要が出てくる。100兆円以上でし
ょうから、米国市場の崩壊も確実になる。歴史的には英国の南海バ
ブル後、英国連邦が覇権を取り、米国がウオール街の魔の木曜日に
より、大恐慌を起こした後、覇権を獲得した。そして、日本が土地
バブル崩壊で、世界の大恐慌を起こして、さあどうなりますか???

もう1つ、自民党政権が無くなる可能性はあると思う。小泉内閣で
構造改革ができずに、かつ景気回復もできないと、国民は日本の
リーダは米国のためにいるのかと思われ、真の日本のリーダーを
選択する可能性がある。このため、小泉内閣は井伊大老の江戸幕府
になる可能性が大いにあるのです。井伊は期待されて、大老になっ
たが、維新にならなかった。しがらみが強くて、その包みを強引に
破ろうとしたが、できかった。こうならないためにも、日本の真に
必要な政策をする必要があるのではないですか??そうすれば、強
引な政策でなく、国民の支持も持続できると思う。

そして、その真に必要な政策は、財政投融資の構造改革と新規市場
の創造しかない。これは10年前、米国がやった政策であり、米国
では成功した。今度は日本の番である。規制緩和は新市場を作り、
数年間は企業の乱立が起き、景気が上昇することが分かっている。
その後は寡占化が起き、雇用吸収力は落ちる。
それまでに、エネルギーや環境、IPV6、ブロードバンドなどの
新規分野を立ち上げる必要があるのです。


コラム目次に戻る
トップページに戻る