478−2.相場から見た拡大日本



私のような、まだ、未熟な者がこのような高度な議論に参加させて
いただけること、本当に誇りに思います。

YSさんの貴金属、特に金・白金に関する情報、大変、参考になりま
した。さすがですね。私も、この30年間、金を眠らしてきた人間
たちの考えていることに大変な注目を覚えます。この30年は、
為替の時代であった。それが、最近のアジア危機、ついこの間の
トルコのリラ。各国の通貨は、ナショナリズムの最後の障壁である
と考えています。

その上で、アメリカが金を完全に押さえていないこと、イギリスが
ユーロに完全参画をしていないこと、この2点は、大変重要なこと
です。92年、ソロスのポンド売りも芝居だったのかもしれません。
 金は、言語(=IT)に及ばずとも、富という観点において、世界
をつなぐ唯一の共通価値基準です。彼らは、何年かけて、どの方向
へ導こうとしているのか?

 この答えは、まさしく金チャートが出しくれるような気がします。
我々が、もつ唯一権力の行動を読むのは、チャートを読むことだと
思うのです。(もちろん、権力構図を理解した上でですけど。)
チャートはうそをつけない。チャートにそぐわない波を彼らは起こ
せないから。

 かつて、VHSとベータの競争と現代DVDの登場。マイクロソフトと
アップルコンピューターの競争と現代i-macの登場。その最大の典型
が、冷戦の崩壊にあると思います。ただ、ロシアは単独では起きあ
がれないでしょう。資金を提供してくれるところがなければ。

相場において、日柄は大変、重要です。
2001年8月15日、この日は、結果に過ぎないのですが、大変
重要な日になるような気がします。日本は、凡てにおいて、敗北を
迎える気がします。今の日本の金融をはじめとした多くの株式銘柄
の外国人持ち株比率は、恐怖すら覚えます。相場を支配されてしま
うと、我々は太刀打ちできません。
生きるには、お金が要るからです。このとき、本当に「日本人」と
いうアイデンティティの危機に直面するのではないでしょうか?
直近の高値を取ったNY金がその後、波に乗れませんでした。
どうやら、彼らは日本のゼロ金利が喉から手がでるほど欲しいよう
です。日経平均を売り込むため、ダウにわざわざ直近の最安値を下
回らせました。日本の政界にも、相当手に込んだことをしくんでき
ております。
それまで、「質への逃避」と言っていたにもかかわらず、3月14
日の英国入札を材料に押さえた。
ところが、19日の量的緩和の決定が下ると金が上昇しました。

孫子の兵法にかなえば、戦い方は、勝てない勝負は挑まないことと
「敵を知り、己を知ることです。」
互いに完璧ではないのですから、相手にも必ず弱点はあります。
でも、最低でも60年近くかけて、勝利することを考えるべきだと
思うのですが。

まず、日本人の長所と短所から、簡潔に探っていくべきかと。
基本は、狩猟民族に対する農耕民族という点。
 農耕民族が、狩猟民族に勝つには、どのような社会体制を敷き、
どのような攻めが最も有効なのかをまず、詰めるとよいような気が
します。
 日本拡大戦略は賛成です。私も、ロイヤリティ大国のような構想
を持ったこそあります。日本人の「ものづくり」(=刀)のセンス
と工夫力は、何か知りませんが、絶大です。
これがある限り、日本人は、滅びません。でも、一回流浪の民にな
った方が、ユダヤ人みたいに強くなれるかも。
 しかし、あとアニメを忘れていらっしゃいませんか?
これは、かなり使えると思うのですが。藤田田さんの戦略と同じです。
アメリカも、一時自動車産業を手放したことがありましたが、ハリ
ウッドだけは、絶対にはなさなかった。
ジャパニメーションは、世界中の多くの若者の心をつかむことがで
きます。文明だけでは心許ないので、文化とセットで。
故手塚氏、宮崎氏、大友氏、などに続いてくれる人が多く育つとい
いです。ただ、前者二方の才能を伸ばしたのは、第2次対戦の敗北
にあったような気がしますが。

他には、
 1,宗教改革を経験してない(=相対的に金融に疎い、これが極
   めて大きいと思います。でも、本間宗久を生んだ。不思議だ
   けども、仏教のせいかな?私はそれを信じて、相場の世界に
   入りました。)
 2,島国(=交渉力に欠ける、相手に図々しい要求ができない、
   また、閉鎖的、「村社会」、外国ですぐ群れる)
 3,神風(=神頼み、他人が何とかしてくれるという希望的観測
   が強い、そのため、かつての勝利への緻密な戦略性が育たな
   い)
 4,アメリカナイズ(後天的なもの、個性の偏重により、日本人
   特有なたぐいまれなる結集力が衰退している。もし、これを
   戦略的に行っていたなら、アメリカはすごい。ただ、ここま
   でうまくいくとは思わなかったのではないかな?)

といった、短所を補う策を考えるのも一手かと思います。

農耕民族が、狩猟民族に勝つにはどの戦略が適切か?
以上の短所を克服し、長所を武器に世界へとでていく。しかし、
そこに「日本」というストレインは決して失われない。
そして、相手の弱点を決してあかさず、関ヶ原までそれを伏せておく。
このような、基礎を明確にした上での議論が大切かとも思うのですが。

日本人が世界にでていくべきことは、事実だと思います。
聞いた話によると、環境関連の技術は、日本が世界の最先端をいっ
ているそうで、採算性も現段階で、一般技術と、1:1,2までき
ているそうです。これは、すごいことです。
時代の変化を予測しながら、それに応じて、戦略を練っていく。
ただ、私は、勉強不足なので、あまり大きなことはいえませんので
、このあたりで。みなさんのご意見を。
caos
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(Fのコメント)
caosさん、また違う角度から拡大日本を見ていただき、ありがとう
ございます。

今回の株安の大きな部分は、外国人投資家の売りによる株安ですか
ら、NY株やナスダックに反応してしまったのです。これは、1時
的な問題です。その証拠に、自社の売上げは増加しているし、この
株安による影響を今の所、受けていない。基本的な日本経済は、最
終の不良資産を整理すれば、浮上する可能性が大きい。今回の整理
で倒産する企業はあるが、リストラする企業はない。それより、
来年から新入社員の奪い合いが起こるようです。団塊の世代が退職
するため、人員が大幅に足りなくなるためです。各社、同じような
状態にあるため、就職戦線に春がくるでしょうね。景気も持ち直す
でしょう。このため、日銀の量的拡大と日米会談での不良債権整理
で相場が反応した。

日本人が世界に目を向ける時代になったように思うのです。世界と
日本が近距離になっているのですから。しかし、日本人としての個
は強くない。このため企業内従業員の結束は維持し、世界に群れて
出て行く可能性が大きいように感じる。このため、ある程度の終身
雇用は維持することが必要でしょうね。しかし、年功序列の賃金体
系は廃止の方向でしょう。それの裏返しとしての敗者復活の仕組み
を日本社会は、他社や自立の道として確立することでしょうね。


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