409−2.味の素事件について



 1月6日に発生したインドネシアの味の素事件の方向が見えてき
ましたので、評論します。このコラムは相当な方たちがみているの
で、事件解決に悪影響を及ぼすと思い、論評を差し控えていました
が、ワヒド大統領からも、「味の素」は大丈夫との言明をいただき
、このコラムで論評します。(Fより)

 イスラム教は、日本の宗教と違い、日常の法律が戒律になってい
る。このためのこの戒律違反のための宗教裁判所を持ち、行政機関
とは別に機能している。法律の立法と裁判が分権している社会とは
違う。このイスラム法の食事規定等の解釈をハラル委員会で行って
いる。宗教界はしかし、行政権はないので警察に告発して、行政権
の行使はしてもらうことになる。
警察は、宗教裁判所の支持に従うことになる。このため、ワヒド大
統領がYESといっても、宗教界の反対があれば、無効になるが、
ワヒド氏自身が宗教界の出であり、かつハラル委員会の委員をして
いたので、その面からワヒド大統領の発言は有効的に働くのです。

 ここで、日本の動きですが、味の素はさすが早い対応であったと
思う。1月6日にHP上で事件の詳細を解説し、対応策を取ってい
る。日本政府は、1月9日に高村法務大臣がワヒド大統領と会い、
釈明をしている。この釈明が有効であったから9日のハラルとして
問題ないとのワヒド大統領の言明があるのです。

どうして、もう少し前に、外務省の河野外相がインドネシアに行か
ないのか疑問である。そうすれば、より早い解決ができたような気
がする。外務省は、国民や日本企業のためにあるのであるから、
日本の企業の不始末についても、責任を感じ、対応することが必要
ではないのですか。外務省の幹部が公金横領をするなど、国民のた
めの外務省になっていないと批判されることになるのです。日本の
ため、日本国民、企業のための外務省を目指してほしい。その点、
元外務大臣の高村さんは、すばらしい。高村さんのような外務大臣
が日本には必要なのです。高村さん、今後も外務大臣の分までお願
いします。
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日本人ら全員を釈放 インドネシア味の素事件で  
 インドネシアで「味の素」の現地法人が化学調味料の製造過程で
豚の酵素を使ったとして消費者保護法違反(虚偽表示)に問われて
いる事件で、同国警察当局は11日夜、荒川満夫社長と小山洋介・
技術担当取締役、インドネシア人幹部5人の7人全員を釈放した。
 またインドネシアのビマントロ国家警察長官は同日、今回の事件
捜査を国家警察に格上げして続行する方針を明らかにした。製造過
程について独自の再調査を行うという。
(1/1223:47asahi) 
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<味の素問題>豚肉成分は一切含まれず インドネシア政府が発表
(毎日新聞)

 インドネシア政府は10日、「味の素製品には豚肉成分は一切含
まれていない。製造過程の検査でも、問題になる成分は検出されな
かった」との調査結果を発表した。ワヒド大統領は9日、同社製品
を「イスラム教で許されているハラルだ」と言明していた。大統領
は事態収拾を図る方針だが、国民に戸惑いも広がっている。 

[毎日新聞 1月10日] 
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日本人技術者ら6人逮捕=味の素調味料の豚使用問題−インドネシア
(時事通信)

 【ジャカルタ6日時事】インドネシア国家警察は6日、味の素の
インドネシア現地法人「インドネシア味の素」が調味料の製造過程
で豚の成分を利用していた問題で、日本人社員1人を含む同社幹部
6人を消費者保護法違反の容疑で逮捕したことを明らかにした。
警察は5日夜、日本人の技術担当者ら東ジャワ州モジョクルトの同
社工場幹部4人を逮捕するとともに、同工場を封鎖。6日にはジャ
カルタ近辺で同社のインドネシア人幹部2人を逮捕した。  

[時事通信社 2001年 1月 6日 20:01 ] 
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                        2001年1月6日
   インドネシアにおけるハラール問題について
                       味の素株式会社

 インドネシア味の素鰍ナ製造している"AJI-NO-MOTO"につき、ハ
ラール不適合との指摘があり、当局より製品の市場からの回収の指
示がありました。
 尚、この件で当社社員が現地警察に身柄を拘束されているという
状況が起こっています。
 この件についての弊社の見解は、以下の通りです。
 @ 2000年9月インドネシアで、ハラールの認証更新時のハラール
  委員会の査察においてグルタミン酸ソーダ生産のための菌の保
  存用培地に、豚由来の酵素を触媒として作られた大豆蛋白分解
  物質が一部使用されていることが指摘されました。
  インドネシア味の素鰍ナは、グルタミン酸ソーダを生産する上
  において、主原料及び副原料については、ハラールの重要性を
  十分に認識し、ハラール違反になる物質は一切使用しておりま
  せん。
  グルタミン酸ソーダは、発酵により生産されますが、発酵に発
  酵菌を使用しています。
  今回指摘されたのは、発酵菌の保存用の培地の一部の栄養源と
  して使用している外部より購入した大豆蛋白分解物質が、その
  製造過程において触媒として豚由来の分解酵素を使っていたと
  いうことです。
  尚、最終製品としての"AJI-NO-MOTO"には全く含まれておりませ
  ん。

 A インドネシア食品医薬局としても、最終製品には豚由来の物質
  は含まれていないとの声明を発表していますが、ハラール委員会
  が当該大豆蛋白分解物質使用は、ハラール上適切でないと判断し
  たため、同局から回収の指示が出され、これに従う事に致しまし
  た。
 B 同社はすでに2000年11月に豆濃培地への切り替えを行っており
  、食品医薬局及びハラール委員会からは、ハラール上何ら問題な
  いとの見解をいただいています。
 C 何れにしましても、このような状況になりましたことはまこと
  に遺憾でありますが、当社としましては現地当局に協力し、いち
  早くお客様に安心してお使いいただけるよう努めて参ります。
以上 


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